中村拓志とは?
- 1974 東京に生まれる
- 1999 明治大学大学院博士前期課程修了
- 1999 隈研吾建築都市設計事務所入所
- 2002 NAP建築設計事務所を設立
- 2007 情熱大陸出演
中村拓志は、1974年生まれ、2023年で49歳を迎える建築家である。
明治大学大学院卒業後は、日本を代表する建築家「隈研吾」の設計事務所に勤務しながら建築を学んだことでも知られている。
代表作としては「狭山の森礼拝堂」や「モンキーカフェ」などが知られており、師匠である隈研吾に負けず劣らずの、木材を使用した魅力的な建築物を多数手がけている。
また、2007年にはTBSのドキュメンタリー番組『情熱大陸』に出演したことでも話題となった。
【代表作】建築家中村拓志の建築作品10選
1.狭山の森礼拝堂

- 設計:中村拓志
- 住所:埼玉県所沢市
- 竣工:2014年1月
- 用途:礼拝堂
- 構造:RC造、一部W造
狭山の森礼拝堂は、埼玉県所沢市の狭山湖畔霊園内に建つ、豊かな自然に囲まれた礼拝施設のことである。
コンセプト「人々とともに、建築も祈る」
このようなコンセプトを基に、深い森とお墓の接続点に新たな祈りのための施設が完成している。
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2.モンキー カフェ

- 設計:中村拓志
- 住所:東京都渋谷区猿楽町
- 竣工:2014年
- 用途:商業施設(自社ビル)
- 構造:RC造 S造
モンキーカフェは東京・代官山に建つ、オフィスやカフェ、ギャラリーなどを併設した、企業の自社ビルである。
「企画→開発→設計→発表→展示会→販売→改良」という企業に重要な一連の流れをどのように繋ぐかが課題であったそう。
その課題に対してこの建築では、螺旋状の形態を採用することでい一連の流れがシームレスに接続されている。
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3.メインダイニング エレテギア
メインダイニング エレテギアは、広島県尾道市にあるリゾートホテル「ベラビスタ スパ&リゾート 尾道」のメインダイニングが入った建物である。
この建築では、ガラス以外の壁を設けないことで周辺の自然豊かな風景を内部でも堪能できるようになっている。
日本は地震が多い国なので、通常は耐震壁などの水平荷重を負担できる構造物を設置しなければならないのだが、この建築では壁がない分の地震力の負担は、柱を「細い2本の鉄骨とそれをつなぐ短い横材」で構成することで水平荷重に対応できる構造体へと変化させている。
さらに、鉄骨やガラス張りの冷たい印象を、屋根の木組みによってやさしい温かみのある空間に変化させているのも魅力的な建築物である。
4.Ribbon Chapel

Ribbon Chapelは、広島県尾道市にあるリゾートホテル「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」の施設として建設された、主に結婚式などを行う礼拝堂建築である。
この建築は、二つの螺旋階段が複雑に絡みあった構成が印象的な外観を形成しているが、中村拓志曰く、これは結び合う行為を空間化したものであるそうだ。
このチャペルでは、祭壇への経路が、新郎と新婦がそれぞれ別の階段を上っていき、頂上で出会う構成となっている。
こんな魅力的な空間で結婚式を挙げられたら幸せだろう。
5.上勝町ゼロ・ウェイスト センター

- 設計:中村拓志
- 住所:徳島県勝浦郡上勝町
- 竣工:2020年3月
- 用途:ごみ処理施設 ホテル
- 構造:木造
この建物は、ごみを根本から減らすために「ゼロ・ウェイスト宣言」をした上勝町に建つ、分別処理場にショップやホテル、オフィスなどを付与した、複合施設である。
特徴的な形の建物は、分別→再生に至るまでの一連の流れを、大きな屋根によってシームレスに繋げたものである。
また、この建築では、観光のために訪れる歩行者と、ごみを出しに来た住民や回収車などの車の動線を分けることで、プライバシーを確保するなどの工夫もされている。
6.東急プラザ表参道原宿

この建築では、人々を引き付ける次のような工夫がされている。
- 表参道のケヤキ並木と連続した、樹木による木漏れ日を作り出す形態
- 屋上空間に設けられたテラス
- 多面体ミラーによる入口動線
まず、見え隠れする屋上テラス、入り口の多面体ミラーによって人々を屋内へ誘導する。
その後、屋上テラスや付属するカフェで休憩した後、下層階のお店で買い物をする。このような流れがこの建築では作られている
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7.狭山湖畔霊園管理休憩棟
- 設計:中村拓志
- 住所:埼玉県所沢市大字上山口
- 竣工:2013年1月
- 用途:事務所
- 構造:S造 RC造
この建築の特徴は、床面から1.35mという低い軒である。この軒は、人間はうつむく傾向があることを利用した構成となっている。
また、建物の周りには水盤が設置されている。この水盤と低い軒によって、窓からは森の中の豊かな自然や街の風景などを望むことができる。
さらに、内部空間は木材と水盤からの光の反射によって、明るさや雰囲気が多様に変化する空間になっている。
8.ZOZO本社屋


- 設計:中村拓志
- 住所:千葉県千葉市稲毛区緑町
- 竣工:2020年12月
- 用途:事務所
- 構造: S造 RC造
この建築の最も特徴的な点は、布を垂らしたように垂れた屋根である。
この屋根の内部は、細い木材を三層に折り込んであり、空間や人々を優しく包み込むような内部空間となっている。
また、内部空間は一つのワンルーム空間をスキップフロアでつないだような空間構成ともなっている。
この「ワンルーム+スキップフロア」という構成によって、全体が一体となりつつも、様々な視線が交わる空間がつくられる。
9.Radiator House / ラジエータハウス
- 設計:中村拓志
- 住所:千葉県市川市
- 竣工:2016年5月
- 用途:専用住宅
- 構造:RC造 S造
住宅設計の課題として、プライバシーの確保と風通しのバランスという問題が存在する。
周辺からの視線を遮るために塀で家を囲うとプライバシーは確保できるが、風通しが悪くなってしまう。
その課題の一つの解決法を示しているのがこの建築である。ここでは、形態のの自由度が高いGRC(ガラス繊維補強セメント)でラジエータの役割を果たす壁が設けられている。
このラジエータによって周辺からの視線を遮りつつ、風通しを確保している。
10.Optical Glass House
- 設計:中村拓志
- 住所:広島県広島市
- 竣工:2012年10月
- 用途:個人住宅
- 構造:鉄筋コンクリート造
この建築の特徴は、道路側の面に存在する光学ガラスによるファサードである。
このガラスの壁は、道路からの騒音を遮りつつ、前庭に、ガラスを反射した淡い光を取り入れる効果がある。
さらに、このガラスは、適度に外からの視線を遮りつつも、人々の雰囲気や気候などの要素を淡く取り入れている。
最後に・・・
以上が建築家中村拓志の建築作品10選でした。
周辺環境と調和させた作品から、人々の感情を誘導するような作品まで、幅広い性質を持つ建築作品を手掛けていることがわかったと思います。
また、中村拓志さんは2021年現在で、まだ47歳の建築家であるため、今後どのような作品を手掛けるのかがとても楽しみです!
ご覧いただきありがとうございます!