カタール国立博物館とは?
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- 設計:ジャン・ヌーヴェル
- 住所:カタール・ドーハ
- 竣工:2018年
- 用途:博物館
カタール国立博物館は、中東の国カタールの歴史を伝えるための施設として、2018年に首都ドーハに建設された国立博物館である。
建築の設計は、世界的に活躍するフランスの建築家「ジャン・ヌーヴェル」が担当。
建物全体は、沿岸のような水が存在する砂漠地帯でのみでしか生まれない薔薇型の鉱物結晶「砂漠の薔薇」の形態をモチーフにデザインされており、巨大な円盤を縦横ランダムに組み合わせたような形態となっている。
また、その円盤は外形のみならず内部空間すらも形作り、世界的にも類を見ない異質な建築空間が生み出されている。
巨大な円盤が交差するこの複雑な形態の実現には、最先端の建築技術が導入されている。これも、石油や天然ガスなどの天然資源に恵まれた国・カタールだからこそ実現しえ得た建築作品なのだろう。
カタール国立博物館の建築的特徴
砂漠と海に囲まれた国「カタール」に建つ国立博物館
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中東のアラビア半島北東部に位置する、砂漠とペルシャ湾に囲まれた国「カタール」。
第二次世界大戦後発見された石油と天然ガスによって、カタールは世界屈指の裕福な国へと変貌。
2022年には、中東で初めてサッカーワールドカップが開催されたことでも話題になった。
そんな、カタールの首都ドーハの沿岸部に、2018年「カタール国立博物館」というカタールの歴史を伝える国立博物館が完成した。
ジャン・ヌーヴェルの渾身作
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カタール国立博物館の設計は、フランスを代表する現代建築家「ジャン・ヌーヴェル」が担当。
ジャン・ヌーヴェルは、1987年に竣工した「アラブ世界研究所」で一躍世界にその名を馳せ、2008年には建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞するまでに至った世界的建築家である。
ジャン・ヌーヴェルはこれまでにも「アラブ世界研究所」や「ケ・ブランリ美術館」など、前衛的な建築作品を数多く手がけてきたが、その中でもカタール国立博物館のデザインは特に異彩を放っている。
「砂漠の薔薇」をモチーフにした形態
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カタール国立博物館の特殊な形態は、沿岸のような水が存在する砂漠地帯でしか生まれない「砂漠の薔薇」と呼ばれる鉱物結晶の形がモチーフになっている。
砂漠の薔薇は、円盤を縦横斜めランダムに交差させたかのような複雑な形態をしているのだが、ジャン・ヌーヴェルはこれを巨大化して建築に落とし込んだのである。
ジャン・ヌーヴェルのこの大胆な発想にももちろん驚かされるが、それ以上に、この複雑な形態を実現した技術者に賞賛を送りたい。
カタールの風土と調和した構成
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カタール国立博物館を構成する巨大な円盤は、スチールフレームに繊維補強コンクリートのパネルを張り付けた構成となっているのだが、その表面はカタールの砂漠と調和するベージュ色に仕上げられている。
また、円盤の間には、不定形なガラスが嵌めこまれているのだが、このガラス面は、カタールの強い日差しが直接当たらないようにセットバックして設置されている。
さらにさらに、巨大な円盤は人々をつ強い日差しから守る日よけにもなっているのである。
このように、カタール国立博物館は派手なデザインにばかり気を取られがちだが、実はカタールの風土に調和するための様々な工夫が施されていることも忘れてはいけない。
内部空間すらも生み出す円盤
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砂漠の薔薇を構成する巨大な円盤は、何も複雑な外形を作り出すためだけに存在しているのではない。
この円盤によって四方を囲われた部分は、当然ながら博物館の内部空間として展開されているのである。
しかもその内部空間は、円盤の不規則性と同様に、次にどのような空間が広がるのかが全く予測できない。
まるで、洞窟の中を冒険するような気分になるだろう。
新旧の対比を生み出す保存された宮殿
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カタール国立博物館は、広い中庭を囲うようにして「ロの字型」に建物全体が展開されているのだが、そのロの字の一部には古い宮殿のような建物が佇んでいる。
この建物は「シャイフ・アブドッラー・ビン・ハリーファ・アール=サーニー」というカタールの王族の宮殿として利用されていたもので、現在は博物館の一部として公開されている。
歴史的な建物の周囲を、円盤を組み合わせた現代的な建物が囲う対比的な構成は、見るものを魅了する。
ジャン・ヌーヴェルの代表作品8選
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ジャン・ヌーヴェルの作品集
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