佐藤功一の建築作品5選【人物像・代表作などを解説】

皆さんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、早稲田大学建築学科の草創期を支えた建築家「佐藤功一」の建築作品5選をご紹介したいと思います。

歴史主義からモダニズムへの変遷期を生きた建築家です。

是非最後までご覧ください。

目次

佐藤功一とは?

佐藤功一の経歴

  • 1878年 栃木県に生まれる
  • 1903年 東京帝国大学工科大学建築学科卒業
  • 1908年 宮内省内匠寮御用掛
  • 1910年 早稲田大学建築学科本科講師
  • 1911年 同大学教授
  • 1918年 佐藤功一建築事務所開設
  • 1919年 工学博士
  • 1921年 早稲田大学主任教授退任
  • 1941年 逝去(64歳)

佐藤功一は、私学で初めて建築学科を開設した早稲田大学で、草創期に教授を務めつつ、建築家としても数多くの実作を残したプロフェッサーアーキテクトである。

早稲田大学での佐藤功一は、建築史・法規・計画など20を超える講座を受けもち、東洋建築史を担当した伊東忠太、建築計画の岡田信一郎、建築構造の内藤多仲らと共に、草創期の早稲田建築学科の基礎をつくり上げた。

一方で、建築家としての佐藤功一の代表作には「大隈講堂」や「日比谷公会堂・市政会館」など、歴史主義を取り入れた作品が数多く挙げられる。

一方、佐藤功一が生きた時代は、徐々にモダニズムが歴史主義に代わって台頭する、建築界の移行期と重なっていたため、佐藤功一の作品の中でも、徐々に様式建築が解体されていく様子が伺える。

佐藤功一の建築作品5選

1.大隈講堂

photo by Wiiii/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:佐藤武夫・佐藤功一
  • 住所:東京都新宿区戸塚町一丁目104番地
  • 竣工:1927年
  • 用途:講堂
  • URL:公式ページ

大隈講堂は、早稲田大学の創設者として知られる「大隈重信」の記念事業として、1927年に建設された講堂建築である。

意匠設計は、当時早稲田大学の教授であった佐藤功一と、助教であった「佐藤武夫」が共同で実施。
構造設計は耐震構造学の父として知られる「内藤多仲」が担当した。

建築は、ナショナル・ロマンティシズム建築の代表作「ストックホルム市庁舎」に強く影響を受けたといわれる、ゴシック様式を基調とした歴史主義建築となっている。

垂直性を強調する時計台がシンボルになっており、低層部には3つのチューダー・アーチ(幅広くつぶれた尖頭アーチ)が整然と並べられている。

2007年には国の重要文化財に指定された、歴史的価値の高い建築作品である。

2.岩手県公会堂

photo by 663highland/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:佐藤功一
  • 住所:岩手県盛岡市内丸11-2
  • 竣工:1927年
  • 用途:公会堂
  • URL:公式ページ

岩手県公会堂は、県会議事堂・大ホール・西洋料理店・皇族方等の宿泊所という4つの用途を内包する公会堂として、1927年に建設された建築物である。

2006年には、国の登録有形文化財にも登録された、歴史的価値の高い建築作品だ。

建物は、ネオ・ゴシック様式を用いた歴史主義建築となっており、中央に建つ、6層の高さをもった塔や、外壁に配置された装飾によって、垂直性の高いファサードが作り出されている。

外壁全体は、薄茶色のスクラッチタイルによって覆われており、周囲の自然に溶け込むような落ち着いた佇まいをしている。

3.日比谷公会堂・市政会館

photo by Kakidai/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:佐藤功一
  • 住所:東京都千代田区日比谷公園
  • 竣工:1929年
  • 用途:公会堂・市政会館
  • URL:建築詳細ページ

日比谷公会堂・市政会館は、公会堂と市政会館という異なる2つの機能を併設した、日比谷公園南端に建つ複合施設である。

時計塔がある道路側に「市政会館」、反対の日比谷公園側に「日比谷公会堂」が入っており、施設全体は茶褐色タイルでまとめられている。

建築全体は、垂直性の高いゴシック建築の様相を示している反面、そのディティールを見るとアールデコの特徴も散見される。

1999年には「東京都選定歴史的建造物」にも選ばれ、現在の日比谷公園のシンボルにもなっている建築作品である。

4.群馬会館

photo by Taken with Canon IXY 10S/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:佐藤功一
  • 住所:群馬県前橋市大手町2-1-1
  • 竣工:1930年
  • 用途:公会堂
  • URL:公式ページ

群馬会館は、群馬県初の公会堂として、1930年に建設された佐藤功一建築である。

構造には鉄筋コンクリート造を用いているが、1階部分は石張り、2階以上はスクラッチタイル張りで仕上げられており、外観は組積造建築のように見える。

様式としては、1階部分のアーチの連続や、2階以上の外壁に設置されたピラスター、シンメトリックな構成などからもわかるように、格式高いルネサンス様式を引用している。

群馬会館も、1996年に国の登録有形文化財に登録されている。

5.滋賀県庁舎本館

photo by Taken with Canon IXY 10S/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:佐藤功一
  • 住所:滋賀県大津市京町4字大蔵1-1
  • 竣工:1939年
  • 用途:庁舎
  • URL:公式ページ

滋賀県庁舎本館は、滋賀県の行政施設として1939年に建設された庁舎建築である。

1941年に逝去した、佐藤功一晩年の代表作としても知られており、彼のエッセンスが詰まった作品となっている。

建物全体は、中央に塔屋を設け、両翼を展開するなど、シンメトリックで格式高いルネサンス様式を基調としてまとめられている。

一方で、中央の大オーダーの柱頭飾りがかなりシンプルなものになっているなど、全体的に装飾が排された構成となっており、建築界が歴史主義からモダニズムへ変遷する兆候が伺える。

参考サイト・書籍

本記事は、上記のサイトや書籍を参考に執筆しました。

今回はこれで以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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