内藤多仲の建築作品5選【人物像・代表作などを解説】

みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、日本における耐震構造学の生みの親として知られる「内藤多仲」の建築作品5選をご紹介したいと思います。

生涯で70近くの塔建築を設計した塔博士です。

是非最後までご覧ください。

目次

内藤多仲(ないとうたちゅう)とは?

内藤多仲の経歴

  • 1886年 山梨県に生まれる
  • 1907年 東京帝国大学造船学科入学、建築学科に転科
  • 1910年 同大学卒業、大学院進学、早稲田大学講師
  • 1912年 早稲田大学教授
  • 1924年 「架構建築耐震構造論」で工学博士
  • 1970年 逝去(84歳)

内藤多仲(ないとうたちゅう)は、日本の「耐震技術」の生みの親とされる構造家・建築家である。

東京帝国大学建築学科で当時教鞭をとっていた、建築構造学の先駆者「佐野利器」の指導を受け、その後の構造家人生の礎を築いている。

内藤多仲の代表作としては「東京タワー」「大阪通天閣」「名古屋テレビ塔」などがあげられ、数多くの鉄塔建築の構造設計を行ていることから「塔博士」とも呼ばれていた。

耐震技術の生みの親と呼ばれる所以は、現在では当たり前になっている「耐震壁」という耐震技術を生み出したのが内藤多仲であるからである。

内藤多仲の建築作品5選

1.3代目歌舞伎座 ※現存せず

  • 設計:内藤多仲(構造)・岡田信一郎(意匠)
  • 住所:現・東京都中央区銀座
  • 竣工:1924年
  • 用途:劇場
  • URL:公式ページ

歌舞伎座は、1889年に歌舞伎専用の劇場として、現在の東京都中央区銀座に開業された文化施設である。

2代目歌舞伎座が漏電により焼失したことを受け、早稲田大学で教鞭をとっていた「内藤多仲」と「岡田信一郎」がそれぞれ構造設計と意匠設計を担当する形で、新たな3代目歌舞伎座が建設された。

3代目歌舞伎座が竣工したのは1924年。勘のいい方は気づいたかもしれないが、竣工の前年である1923年は、東京に関東大震災が襲った年である。

しかし、内藤多仲は、3代目歌舞伎座に自身が生み出した新たな構造形式である「耐震壁」を用いて構造設計を試みていたため、倒壊することはなかった。

このことが契機になり、内藤多仲の構造理論が広く日本に伝搬していくこととなるのである。

2.明治生命館

  • 設計:内藤多仲(構造)・岡田信一郎(意匠)
  • 住所:東京都千代田区丸の内
  • 竣工:1934年3月
  • 用途:オフィスビル
  • URL:建築詳細ページ

明治生命館は、1934年に明治生命の新社屋として東京・丸の内に建設されたオフィスビルである。

1997年には、昭和期に建てられた建築物として初めて重要文化財に指定されており、その歴史的価値は国からも認められている。

そんな明治生命館は、歌舞伎座と同様に意匠設計を岡田信一郎、構造設計を内藤多仲が務めている。

丸の内では現在、多くの歴史のある建築物が高層化されている。

しかし、明治生命館に関しては、今もなお高層化されずに竣工当時の姿を保っている。
これは岡田信一郎の美しいデザインと、内藤多仲の見事な構造設計のおかげであることは疑いようがない。

3.名古屋テレビ塔

  • 設計:内藤多仲(構造)
  • 住所:愛知県名古屋市中区錦
  • 竣工:1954年
  • 用途:電波塔
  • URL:参考ページ

名古屋テレビ塔は、NHKと民放テレビアンテナを1か所にまとめた日本初の「集約電波塔」として、1954年に建設された塔である。

その高さはなんと約180m。建設当時は日本一を誇っていた。

内藤多仲が、今後日本各地で複数設計することになるテレビ塔の中でも最初期の作品であり、その技術的・歴史的価値の高さから、2022年には国の重要文化財にも指定されている。

現在の名古屋テレビ塔は、デジタル放送化に伴い電波塔としての役割は終え、名古屋のランドマークや観光施設として運用・活用されている。

4.2代目通天閣

  • 設計:内藤多仲(構造)
  • 住所:大阪府大阪市浪速区恵美須東1-18-6
  • 竣工:1956年
  • 用途:電波塔
  • URL:公式ページ

名古屋テレビ塔の竣工から2年後、1956年に大阪通天閣は建設された。

実は、現在建っている大阪通天閣は2代目通天閣であり、初代通天閣は1912年(明治45年)に建てられている。

初代通天閣は、パリの凱旋門の上にエッフェル塔を乗っけたような独特な形態をしており、大阪のランドマークになっていたのだが、1943年に足元の映画館が炎上したことをきっかけに解体されてしまった。

その後、通天閣を復興したいという地元民の声から、2代目大阪通天閣が建設されることになり、その構造設計を塔博士である内藤多仲が担当したのである。

2代目大阪通天閣の高さは100m。高さはあまり高くはないが、間違いなく大阪のランドマークになっている。

5.東京タワー

  • 設計:内藤多仲(構造)
  • 住所:東京都港区芝公園4-2-8
  • 竣工:1958年
  • 用途:電波塔
  • URL:公式ページ

塔博士として名を馳せた内藤多仲の代名詞ともいえる建築作品が「東京タワー」である。

ご存じの通り高さは333m。当時世界一を誇っていたエッフェル塔(324m)を抜いて、世界一の自立式鉄塔となった。

地震や台風といった自然災害が多い日本で、これほどの高層建築物を立てるのは、相当の技術力がなければ不可能なことである。

内藤多仲の構造学を結集した作品であることは間違いなさそうだ。

また、戦後日本の復興の象徴的存在でもある東京タワーは、2011年に国の登録有形文化財に登録されており、日本の象徴として国民に親しまれている。

内藤多仲の関連書籍

著:橋爪 紳也, 著:田中 彌壽雄, 著:内藤 多四郎, 編集:建築・都市ワークショップ, 編集:今藤 啓, 編集:石黒 知子
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今回はこれで以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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