皆さんこんにちは、当サイト「建築LIFE」を運営しているたけと言います。
今回は、日本最北端の都道府県「北海道」に建つ、魅力的な美術館建築・博物館建築を10作品ご紹介したいと思います。
毛綱毅曠や辰野金吾などの有名建築家が設計した作品から、司法省が設計した旧監獄施設まで、多種多様な施設を紹介しているので、是非最後までご覧ください。
では早速本題に移ります。
北海道の魅力的な美術館建築・博物館建築10選
1.北海道立帯広美術館【アトリエaku】

- 設計:アトリエaku
- 竣工:1991年
- 用途:美術館
- 住所:北海道帯広市緑ヶ丘2
- URL:公式ページ
北海道立帯広美術館は、ひがし北海道にゆかりのある芸術家の作品や、国内外の版画やポスターを収集・展示することを主目的として、北海道帯広市に建設された美術館建築である。
設計を務めたのは、北海道札幌市に本社を置く設計事務所「アトリエaku」である。
本施設は、おびひろ動物園や帯広市児童会館、帯広百年記念館など様々な施設がある「緑ヶ丘公園」内に建てられており、そういった敷地条件を考慮し「敷居の低い美術館」を目指して設計されている。
具体的には、周辺の緑に溶け込むように高さやボリューム感を落としたり、建物を細かく分割し、できた隙間に中庭を設けるなど、周辺環境との調和を第一に考えた建築となっている。
2.釧路市立博物館【毛綱毅曠】




- 設計:毛綱毅曠
- 竣工:1984年
- 用途:博物館+埋蔵文化財センター
- 住所:北海道釧路市春湖台1-7
- URL:公式ページ
釧路市立博物館は「釧路市埋蔵文化財調査センター」を併設する形で、1984年・北海道釧路市に建設された博物館である。
設計を務めたのは、「石川県能登島ガラス美術館」「くびき駅」など、建築とは思えないような作品を数多く手がける異色の建築家「毛綱毅曠」だ。
冬季に「タンチョウ」が飛来することで有名な釧路市という敷地を考慮し、建築は「タンチョウが翼を広げた姿」をイメージして設計されたと言われている。
この建築は、1984年に「日本建築学会賞」を受賞しており、毛綱毅曠の代表作としても知られている。
3.ガラスのピラミッド【イサム・ノグチ】








- 設計:イサム・ノグチ
- 竣工:2003年
- 用途:ギャラリー レストラン 公園 管理事務所
- 住所:札幌市東区丘珠町
- URL:公式ページ
ガラスのピラミッドは、北海道札幌市の市街地に隣接する位置にある「モエレ沼公園」の中に建つ、ギャラリーやレストランなどの機能が入った施設である。
モエレ沼公園全体の基本設計を務めたのは、日本の父とアメリカの母を持つ彫刻家「イサム・ノグチ」であり、このガラスのピラミッド自体も本計画の最重要施設として、イサム・ノグチが基本設計を務めた。
建築としては「ピラミッド」と「変形直方体」を組み合わせた幾何学的な形態をしており、イサム・ノグチの友人であるイオ・ミン・ペイが設計した「ルーブル美術館」のオマージュだともいわれている。
残念ながら、マスタープランが完成した直後にイサム・ノグチは急逝してしまい、彼の遺志を実現するために、イサム・ノグチ財団(ショージ・サダオ)監修のもとで本施設は竣工した。
4.日本銀行旧小樽支店金融資料館【辰野金吾】




- 設計:辰野金吾
- 竣工:1912年
- 用途:銀行(現・資料館)
- 住所:北海道小樽市色内1丁目11番16号
- URL:公式ページ
日本銀行旧小樽支店金融資料館は、日本銀行の小樽支店として1912年に建設された建物であり、現在は金融資料館として利用されている。
設計を務めたのは「東京駅」「日本銀行本店」などを設計し、日本近代建築の父として知られる建築家「辰野金吾」である。
西洋の「ルネサンス様式」を取り入れた歴史主義建築であり、レンガ造の壁にモルタルを塗り石造り風に仕上げた荘厳な外観は、街のシンボルともなっている。
辰野金吾の代表作であると共に、日本近代建築の代表作としても知られる名建築だ。
5.北海道立釧路芸術館【象設計集団】




- 設計:象設計集団
- 竣工:1998年
- 用途:芸術館
- 住所:北海道釧路市幸町4丁目1番5号
- URL:公式ページ
北海道立釧路芸術館は、美術作品の収集・展示のみならず、コンサートや映画会といったあらゆるイベントを開催することを目的に、北海道釧路市に建設された芸術館である。
設計を務めたのは、「名護市庁舎」や「宮代町立笠原小学校」などを手掛けたことで知られる設計事務所「象設計集団」である。
この芸術館が建つ敷地周辺は、かつて「レンガ倉庫街」として栄えた地域であり、その歴史をふまえた上で、本施設は当時のレンガ倉庫をモチーフとして設計されている。
また、施設前面には整備された緑地と太平洋に注ぐ釧路川が存在しており、それらの自然環境とも調和するかのような、落ち着きのある施設となっている。
6.北海道立近代美術館【太田実】








- 設計:太田実
- 竣工:1977年
- 用途:美術館
- 住所:北海道札幌市中央区1条西17丁目
- URL:公式ページ
北海道立近代美術館は、アートの普遍的価値の継承・発展などを目的として、1977年に北海道札幌市の中心部に建設された美術館建築である。
設計を務めたのは、長年、北海道大学で教鞭をとっていたことで知られる建築家「太田実」だ。
本施設は、上から見ると「十字型平面」をしているが、南北方向から見ると「山型立面」をしており、ちょっと特殊な形態の美術館建築になっている。
しかし、初めからこのような形態の建築物にしようと決めて設計したわけではないそうで、機能面・設備面・構造面など、あらゆる条件を総合的に判断した結果、このような形態に着地したという。
7.函館市縄文文化交流センター【アトリエブンク】




- 設計:アトリエブンク
- 竣工:2011年
- 用途:博物館
- 住所:北海道函館市臼尻町551-1
- URL:公式ページ
函館市縄文文化交流センターは、北海道で初めて国宝に指定された「中空土偶」を常設展示しつつ、縄文時代の石器や土器といった遺産を展示するための施設として、2011年に建てられた博物館建築である。
設計を務めたのは、北海道を中心に設計活動を行う設計事務所「アトリエブンク」だ。
本施設は、有機的な曲面を持つ「質感の粗いコンクリート壁」で全体像が構成されているが、これは縄文文化に見られる「緩やかな曲線」や「質朴な素材」などといった要素を反映した結果、このような構成を採用したという。
また、本施設の象徴となる「曲率する壁」は長さが約200mもあり、この長い壁は、現代と縄文時代を隔てる『結界』の役割を果たしている。
8.北海道立三岸好太郎美術館【岡田新一】




- 設計:岡田新一
- 竣工:1983年
- 用途:美術館
- 住所:北海道札幌市中央区北1条西15丁目
- URL:公式ページ
北海道立三岸好太郎美術館は、札幌出身の画家・三岸好太郎の顕彰を目的として、北海道札幌市に建設された道立美術館である。
設計を務めたのは、「警視庁本部庁舎」や「最高裁判所」など、国の重要施設を数多く手がけたことで知られる建築家岡田新一だ。
1枚目の写真を見ると、箱型の建築のようにも見えるが、実は上から見ると「縦に長い八角形」の形をしており、周囲は緑豊かな自然に覆いつくされている。
また、建築自体は「白い磁器タイル」で覆われた外壁と「銅板葺き」の傾斜屋根が落ち着いた雰囲気を作り出し、周囲の景観と調和した美術館を形成している。
9.国立アイヌ民族博物館【久米設計】




- 設計:久米設計
- 竣工:2019年
- 用途:博物館
- 住所:北海道白老郡白老町若草町2-3-1
- URL:公式ページ
国立アイヌ民族博物館は、アイヌ文化に関する研究や展示などを専門的に行う施設として、2019年・北海道白老郡白老町に建設された博物館建築である。
設計を務めたのは、北海道から九州まで日本全国に支社を持つ、日本の大手設計事務所「久米設計」だ。
建物は、1階の控えめな基壇の上に、大きな2階部分が乗っかった構成が特徴的だが、これはアイヌ民族の高床倉庫「プ」の形態を参考にしているという。
また、2階部分のごつごつとした特徴的な形態は、周囲の「山並みの稜線」や「自然林」を意識しつつ、性能条件や環境負荷低減などを検討した結果として得られた形態となっている。
10.博物館網走監獄【司法省】




- 設計:司法省
- 竣工:1912年
- 用途:博物館
- 住所: 北海道網走市字呼人1-1
- URL:公式ページ
博物館網走監獄は、1890年に「釧路監獄署網走囚徒外役所」として開設された「網走刑務所」の旧施設を移築し、保存・公開している野外博物館である。
設計は「司法省」で、施工は当時の「収容者」によって行われたという。
本施設は「木造独居房2棟」を始めとして「高見張り」や「看守長屋」など複数の棟で構成されており、特に敷地後方にある放射状に広がる建物「舎房及び中央見張所」は、監獄を象徴するかのような特徴的な形態を示している。
この「舎房及び中央見張所」などは、木造の放射状舎房が完全な形で残る日本で唯一の建築物であるとして、国の重要文化財にも指定されている。
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