電通本社ビルとは?
- 設計:大林組+ジャン・ヌーヴェル+ジョン・ジャーディ
- 住所:東京都港区東新橋1-8-1
- 竣工:2002年10月
- 用途:オフィス・店舗など
- URL:公式ページ
電通本社ビルは、日本屈指の広告代理店「電通」の本社ビルとして、2002年東京都港区東新橋に建設された超高層ビルである。
建物全体は、約213mの高さを誇る「オフィス棟」、商業施設や劇場などが入る「カレッタ汐留」、貸事務所が入る「汐留アネックスビル」、講演会などを行える「電通ホール」の4棟で構成されている。
建築の設計は、スーパーゼネコンの一角を担う「大林組」と、フランスを代表する建築家「ジャン・ヌーヴェル」、アメリカの建築家「ジョン・ジャーディ」の三者が共同で行った。
プロジェクト全体のコンセプトは「クリスタル&ロック」。
岩のように強固な地盤の上に、クリスタルのように鋭い高層棟を建てるという意図が明快に表れたコンセプトとなっている。
電通本社ビルの建築的特徴
東京・汐留に建つ超高層ビル
緑豊かな都市庭園「浜離宮恩賜庭園」に隣接しながらも、超高層ビルが数多く建ち並ぶ都内有数のビジネス拠点「汐留」。
そんな汐留に建つ超高層ビル群の中でも、特殊な形態・ファサードによって一際存在感を放つビルが存在する。
そう、それが「電通本社ビル」である。
国内屈指の広告代理店「電通」の本社ビルとして2002年に建設されたこの超高層ビルは、フランスを代表する建築家「ジャン・ヌーヴェル」が設計に加わっている。
ジャン・ヌーヴェルの日本建築
電通本社ビルの設計は、全体統括を「大林組」が務め、そこにデザインパートナーとして「ジャン・ヌーヴェル」と「ジョン・ジャーディ」が加わる形でプロジェクトが進められている。
ジャン・ヌーヴェルは、建築界のノーベル賞とも言われる「プリツカー賞」を2008年に受賞した、フランスを代表する建築家である。
彼の代表作には「カタール国立博物館」や「ルーヴル・アブダビ」など、最先端の建築技術を総動員した前衛的な建築作品が数多く挙げられる。
電通本社ビルは、そんな世界的建築家であるジャン・ヌーヴェルが設計した、貴重な日本建築なのである。
4棟で構成される施設
電通本社ビルは、以下の4棟の建物によって全体が構成されている。
- オフィス棟:高さ約213mに及ぶ高層棟
- カレッタ汐留:商業施設や劇場などが入る低層棟
- 汐留アネックスビル:貸事務所などが入る中層棟
- 電通ホール:多目的ホールが入る低層棟
上の写真でいうと、中央にそびえたつ高層棟が「オフィス棟」、その手前に建つ中層棟が「汐留アネックスビル」、高層棟と中層棟の間に挟まれている低層棟が「カレッタ汐留」、この写真では見えないが高層棟の裏側に建つのが「電通ホール」となっている。
クリスタルのような「オフィス棟」
平面がブーメランのような特殊な形態をした、高さ約213mにも及ぶ電通本社ビルオフィス棟。
このオフィス棟のデザインコンセプトは「クリスタル&ロック」である。
これは、岩のように強固な地盤から、クリスタルのように鋭く神々しい高層棟を建てるというデザインイメージを明快に表したコンセプトになっている。
白からグレーに変化するセラミックプリントガラス
高層棟の南側ファサードには、「セラミックプリントガラス」と呼ばれる、セラミック塗料を焼き付け模様にしたガラスが採用されており、これによって日射を適度に遮断し、建物のエネルギー効率を高めているのである。
さらに、このセラミックプリントガラスは、東から西(写真では右から左)に行くにつれ、白からグレーへと色が徐々に変化している。
この色の微妙な変化によって、ファサードには深い陰影が生み出され、よりクリスタルの神々しさに近いような鋭い外観を作り出している。
オフィス棟と対比をなす低層棟「カレッタ汐留」
クリスタルのガラスに覆われた高層棟に対して、低層棟(カレッタ汐留)はインド産の花崗岩によってファサードが覆われている。
この鋭く軽快な高層棟と、どっしりと重厚感のある低層棟の対比も、電通本社ビルの建築的魅力の一つとなっている。