【建築解説】東京駅|辰野金吾

みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、東京・丸の内のシンボルとなっている「東京駅」の歴史や建築的特徴などを解説していきたいと思います。

関東大震災や東京大空襲を経験してきた歴史のある建築物です。

是非最後までご覧ください。

目次

東京駅の概要

東京駅は、1914年に新橋と上野を結ぶ高架鉄道の「中央停車場」として建設された駅舎建築で、現在は「東京駅」という名称で国民に親しまれている。

中央停車場が建設された当時、日本政府は全面的に西洋化を推進しており、近代建築を数多く手がけていた辰野金吾が設計者として選ばれた。

建築としては、3階建て、全長約335メートルの「レンガ×鉄筋造」で構成されており、南北にある2つのドーム屋根がシンボルになっている。

この建築は、1945年の東京大空襲によって3階部分や左右のドーム部分が焼け落ちてしまい、長らく辰野金吾が設計したオリジナルの姿をしていなかったのだが、2007年に竣工当時の姿への復原工事が開始され、2012年には当時の姿がほぼ完璧に再現された。

設計者:辰野金吾とは?

  • 1854 現・佐賀県唐津市に生まれる
  • 1879 現・東京大学工学部建築学科卒業
  • 1880 英国留学に出発
  • 1884 工部大学校教授就任
  • 1886 造家学会(現・日本建築学会)設立
  • 1903 葛西萬司と辰野葛西事務所を開設
  • 1905 片岡安と辰野片岡事務所を開設
  • 1919 死去(64歳)

辰野金吾は(1851~1919)は、大学やイギリス留学を経て、いち早く日本に近代建築を伝えたことから「日本近代建築の父」と呼ばれている建築家である。

代表作としては「東京駅」「日本銀行本店」などが挙げられ、西洋の歴史主義建築を数多く残したことで知られている。

ここで建築に詳しい方は「近代建築の父なのに、歴史主義建築を設計したの?」と疑問に思われるだろうが、実は日本で言う近代建築は「西洋化された建築」のことを指す。

そして、ル・コルビュジエに代表される海外の近代建築は、日本では「モダニズム建築」と名前が区別されているのである。

つまり、「日本近代建築の父」である辰野金吾は、モダニズム建築を設計したのではなく、西洋化された建築(歴史主義建築)を設計した建築家であるというわけだ。

東京駅の特徴

大正時代に建てられた歴史主義建築

竣工当時の姿

現在丸の内に建っている東京駅は、1914年(大正3年)に新橋と上野を結ぶ高架鉄道の「中央停車場」として建設された駅舎建築物である。

当初の計画では、ドイツ人技師「フランツ・バルツァー」が計画した和洋折衷型のデザインで中央停車場の建設計画は進んでいた。

しかし、当時の日本政府は全面的に日本の近代化(西洋化)を推進していたため、結果的に歴史主義を取り入れた辰野金吾の案が採用される運びとなったのである。

「辰野式」と呼ばれる辰野金吾独自のデザイン

辰野金吾が設計した東京駅は、西洋の過去の様々な様式を混合させた歴史主義建築となっている。

全長はなんと約335m。構造は煉瓦の壁に鉄骨を挿入したハイブリッド構造になっており、当時最先端の技術を導入していることがわかる。

また、ファサードを印象付ける、赤レンガに白い花崗岩を帯状にめぐらせたデザインは、辰野金吾独自のもので『辰野式』とも呼ばれている。

東京大空襲による屋根の焼失

1945年、東京駅は東京大空襲を受けて、屋根や3階部分が大きく焼失してしまった。

上の写真は、その当時の東京駅の様子である。

耐火性の強い煉瓦の壁は残っているのがわかるが、鉄骨造の屋根や左右のドームなどは跡形もなく焼け落ちてしまっていることがわかる。

2階建てに改変された駅舎

1997年の姿 photo by PekePON/CC 表示-継承 3.0

東京大空襲で大きく焼失した東京駅は、上の写真の通り、損傷が激しかった3階部分を取り除く形で、2階建ての建物へと改変されてしまった。

さらに、シンボルにもなっていた左右の丸型ドーム部分も、簡易的な台形型ドームに改変されており、竣工当時とはかなり異なる外観となっていた。

この状態は、修復後の1947年から再び竣工時の姿へ復原が開始される2007年まで、約50年間続くのである。

2012年に竣工当時の姿が復元される

KITTE丸の内からの景観

2007年。東京駅を1914年の竣工当時の状態に復元するという計画が開始された。

この計画に関しては当然ながら、反対派も賛成派も存在していたそうだが、結果的に竣工当時のオリジナルの姿へ復原されることになった。

そして2012年、戦後から半世紀以上たってようやく、東京駅本来の姿が復元されたのである。

補足:八重洲口は対照的な現代風のデザイン

最後に補足だが、東京駅丸の内口の反対側にある「八重洲口」は、大きな膜屋根に覆われた現代風のデザインとなっている。

この2つの駅舎口の対比も、東京駅の魅力の一つであろう。

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今回はこれで以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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