みなさんこんにちは、たけです。
今回は、神奈川工科大学の施設「KAIT広場」を解説したいと思います。
石上純也の建築デビュー作にして代表作でもある「KAIT工房」に続き、神奈川工科大学で実現した石上純也建築です。
建築の概要をわかりやすく解説しているので、是非最後までご覧ください。
KAIT広場とは?

KAIT広場は、神奈川県厚木市にキャンパスがある私立大学「神奈川工科大学(KAIT)」の半屋外広場として2020年12月に竣工した建築物である。
建築の設計は、日本の若手建築家「石上純也」が担当。
石上純也はもともと、神奈川工科大学に建つ「KAIT工房(2008年)」の設計を担当しており、その流れでKAIT広場の設計も担当することとなった。
KAIT工房では、無数の柱群による森の中のような空間を作り出していた石上純也であるが、KAIT広場では、柱が一切ない地形と一体になった大空間を作り出している。
石上純也とは?
- 1974 神奈川県に生まれる
- 2000 東京藝術大学大学院修了
- 2000 妹島和世建築設計事務所勤務
- 2004 石上純也建築設計事務所設立
石上純也は、1974年神奈川県に生まれた、2023年10月現在49歳になる建築家である。
代表作としては「KAIT工房」や「House & Restaurant」などが挙げられ、抽象的な空間から具象的な空間まで、多種多様な建築空間を手掛けている。
また、石上純也は妹島和世の設計事務所に所属していたことでも知られており、所属当時は「ディオール表参道」や「鬼石多目的ホール」などのプロジェクトも担当していた。
石上純也の代表作

建築の特徴
1.自然の魅力を120%引き出す半屋外空間

至る所に現代的な建物が建つキャンパス内に、ごく一般的な広場を設けたところで、そこでできる空間体験はたかが知れている。
そこで石上純也は、広場全体に地形と連続するような大きな箱型ボリュームを設置した。
そして、その箱の屋根面に無数の開口部を設けることで、広場全体を半屋外化している。
このような広場建築を設けることによって、日光・青空・桜といったごく一般的な自然風景の潜在能力を120%引き出しているのである。
2.柱のない大空間を実現する「吊り構造」

KAIT広場の全長は、長手方向で約90mにもなる。
しかし、そんな異次的大空間の内部には柱が一切存在しない。いったいどういう構造になっているのだろうか?
実はKAIT広場は、周囲の4つの壁から薄い鉄板の大屋根を吊り下げるという、大胆な構造形式が用いられている。
これほどの大スパンで鉄板を吊るのだから、当然ながら屋根面は湾曲する。しかし、その湾曲が建築に多様な表情をもたらしているのは言うまでもないことだろう。
3.内部とは対照的な控えめな外観

あれほど迫力のある内部空間を形成するKAIT広場であるが、外観はかなり控えめな構成となっている。
実際、KAIT広場の天井高は2.2m~2.8mほどしかなく、ほとんど住宅スケールと同じくらいである。
このように、圧倒的な大空間を形成しつつも、天井高を抑えて親しみやすさを演出しているあたりは、さすがである。
もし天井高が5mとかあったら、何となく落ち着かない空間になっていただろう。
4.真逆の性質を持つ「KAIT工房」

最後にKAIT広場のすぐ隣に建つ、同じく石上純也設計の「KAIT工房」について簡単に紹介しておく。
KAIT工房も、KAIT広場と同じくワンルームの大空間となっているが、大空間の作り方は真逆である。
KAIT工房では、300以上の細い柱群によって大空間を形成している。
さらに天井にはトップライトが設けられており、柱群とトップライトが合わさることで、森の中の木漏れ日的な空間が作り出されている。
石上純也の作品集など

今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。