建築

紙のカテドラル【坂茂】

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紙のカテドラルとは?

2011.2.22にニュージーランドで発生した、カンタベリー地震。

マグニチュード6.3に及んだカンタベリー地震は、街のシンボルであったクライストチャーチ大聖堂に深刻な被害をもたらした。

2011年といえば日本でも東日本大震災が発生し大変な時期であったが、災害支援活動を積極的に行っていた建築家坂茂ばんしげるは、仮設カテドラルの建設依頼を受け入れた。

この紙のカテドラルは、坂茂氏を象徴する紙管を用いて建てられ、以前のクライストチャーチを踏襲した形状ともなっている。

たけひこ
たけひこ

そんな、紙のカテドラルの特徴を今回ご紹介します!!

坂茂とは?

  • 1957 東京に生まれる
  • 1977 南カリフォルニア建築大学
  • 1980 クーパー・ユニオン建築学部
  • 1982 磯崎新アトリエに在籍
  • 1985 坂茂建築設計設立
  • 1999 ニューヨークに事務所開設
  • 2004 パリに事務所開設
  • 2014 プリツカー賞受賞

坂茂とは、日本・パリ・ニューヨークに3つの設計事務所を持ち、世界中で活躍されている建築家である。

代表作としては、「静岡県富士山世界遺産センター」「ラ・セーヌ・ミュージカル」などが挙げられる。

坂茂と紙管

坂茂氏は、トイレットペーパーの芯などに用いられる「紙管」を仮設建築に用いることで知られている。

「紙管」は、紙製であるため、工場さえあれば簡単に生産できる。

この利点を生かし、被災地などの仮設建築に紙管を利用している。

建築の特徴

紙のカテドラルの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 地元の材料にこだわった建築
  2. A型フレームによる構造
  3. 元の教会のジオメトリーを利用した建物構成
  4. 鮮やかな三角形のステンドグラス
  5. 紙管と木材による屋根
  6. コンテナによる基礎
  7. 紙管の隙間からもれだす光
  8. 家具などにも用いられる地元産紙管と木材

現地の材料にこだわった建築

震災復興のシンボルとしてのモニュメント的建築

坂茂氏はこのようなコンセプトを掲げ、次の3つの地元産材を使用して、紙のカテドラルを設計した。

  1. 地元工場で生産した「紙管」
  2. 地元入手の「コンテナ」
  3. 地元産「LVL材(木材)」

これらによって構成される紙のカテドラルは、地元民に愛され、復興の象徴ともなる「モニュメント」的建築になっている。

A型フレームによる構造

紙のカテドラルは、A型をしたフレームが特徴的であるが、この構成は次の条件を考慮した結果による形態となっている。

  1. 700人を収容できる大規模な建築
  2. 短期間
  3. ローコスト

これらの厳しい条件を満たすためには、「屋根=壁」のようになったA型フレームの構成が最も適しているという。

元の教会のジオメトリーを利用した建物構成

元々あったクライストチャーチ大聖堂

この写真を見ると、現在の教会と過去の教会は全く似ていないように見える。

しかし、坂茂氏は元の教会に対して幾何学的な分析を行い、そこから導き出されたジオメトリー(あるパターン)を参考に、紙のカテドラルを設計したという。

この内在的に共通する構成が、市民に対して親しみを与えているのだろう。

鮮やかな三角形のステンドグラス

紙のカテドラルの鮮やかさを作り出す三角形のステンドグラス。

このステンドグラスも、元の教会にあった「ローズウィンドウ」から色とパターンを引用し、ガラスにプリントしている。

ローズウィンドウ

ローズウィンドウとは、円形のステンドグラス窓のことである。

ヨーロッパの大聖堂でよく用いられ、ゴシック建築の特徴にもなっている。

ローズウィンドウは、聖母マリアを暗示する役割も果たしているという。

一般的にローズウィンドウは円形であるが、ここでは49の三角形を組み合わせた形状となっている。

この三角形の構成によって面剛性(面で建物を支えること)が確保でき、地震力などに対応できるようになっている。

紙管と木材による屋根

紙のカテドラルを象徴する紙管の屋根。

この地域にはもともと紙管メーカーの工場があり、紙管を主構造とする屋根をつくる予定であった。

しかし、小さな工場であるため構造材として十分な紙管の厚さを確保できないことがわかる。

しかし、地元の材料で作ることにこだわりたい坂茂氏は、紙管の中に地元産のLVLという木材を入れて補強することで、紙管による建築を実現した。

コンテナによる基礎

紙管と木材による大屋根の基礎部分は、8つのコンテナを並べて形成されている。

コンテナは、ローコストであることや地元で入手できるなどの面を考慮し採用されたが、コンテナの内部を居室として利用するなど、意外に機能的に利用できる優秀な建築材料である。

光のあふれる大聖堂

紙管の外側を覆っているのは「ポリカーボネート」というプラスチックの一種。

この透過性のある材と、紙管都市間の間に設けられた隙間によって、昼間は外の光が内部を明るく照らし、夜間は内部の光が外にもれだす。

この構成がステンドグラスと合わさることで、一日を通して光であふれる空間となっている。

内部にも用いられる地元産紙管と木材

内部にある、椅子や説教台、聖歌隊の譜面置きなどにも地元産の紙管と木材が使用されている。

上の写真の椅子も、地元産のLVL材によって作られており、コンパクトに積み重ねられるように工夫もされている。

これは、聖歌隊の譜面置きである。

紙管による構成が、教会らしい雰囲気を作り出しているように感じる。

実は、正面の祭壇上に設けられている十字架も紙管によって構成されている。

このように、細部にまで紙管などの現地で調達した材料を使用している点に、坂茂氏のこだわりが見える建築作品である。

建築物概要

  • 所在地:ニュージーランド,クライストチャーチ
  • 竣工 :2013年7月
  • 用途 :教会
  • 構造 :木造 一部鉄骨造
  • 高さ :22.7m
  • 階数 :地上1階
  • 設計 :Shigeru Ban Architects Europe
  • 施工 :Naylor Love
  • 構造 :手塚構造研究室
  • 設備 :Powell Fenwick

施設概要

  • Tel    :0544-21-3776
  • 休館日 :基本的に無休
  • 料金  :無料
  • 営業時間:月-土 9:00-17:00, 日 7:30-17:00 (時期により変動)
  • URL  :紙のカテドラル | homify

最後に・・・

以上がニュージーランドに建つ、紙のカテドラルの特徴でした。

紙管や木材を用いた温かい空間に、ステンドグラスや透過性のある屋根からの光が合わさり魅力的な空間が作り出されていました。

たけひこ
たけひこ

ニュージーランドに訪れる機会があったら是非、紙のカテドラルに立ち寄ってみてください!

ご覧いただきありがとうございました。

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