みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、茨城県水戸市に建つ「水戸芸術館」の建築的特徴などについて解説していきたいと思います。
磯崎新の代表作でもある複合文化施設です。
是非最後までご覧ください。
水戸芸術館の建築的特徴
茨城県水戸市に建つ複合文化施設

水戸芸術館は、水戸市の市制施行100周年を記念して1990年に開館した複合文化施設である。
コンサートホール・劇場・ギャラリー・会議場など複数の文化機能を併設しており、水戸市における文化中枢施設となっている。
上記の機能の他に施設東側には高さ100mを誇る展望タワーが建てられており、水戸市全体のシンボル的存在になっている。
磯崎新の代表作

水戸芸術館の設計を務めたのは、日本を代表する建築家・磯崎新である。
設計者は、プロポーザル方式(複数の事務所に提案書を出してもらい最も適した設計者を選ぶ方式)で選定され、大きな広場を囲うようにして分棟型で諸機能を配置した磯崎新の案が採用された。
磯崎新は2022年12月に逝去(享年91歳)。その際には水戸芸術館設計時の資料などを展示する「磯崎 新―水戸芸術館を創る―」展が開催されている。
中央広場を囲う「コの字型」の分棟配置

上の図は、水戸芸術館の1階フロアガイド図である。
中央の大きな広場を囲うようにして、塔・現代美術ギャラリー・コンサートホール・劇場・会議場といった機能が、コの字型に分棟配置されていることがわかる。
複数の機能をひとつの大きな建物にまとめるのではなく、分棟配置にすることによって街のスケール感との調和を図っているのである。
誰もが自由に行き来できる豊かな中央広場

水戸芸術館の中央広場は、施設利用者に限らず、誰もがいつでも行き来できるパブリックスペースになっている。
都市におけるこのようなパブリックスペースは、施設の活性化はもちろん、豊かな街並みの形成という観点からもかなり有意義な空間となる。
さらに中央広場の北側、写真右端にはカスケード(人工的に作った滝)が設置されている。
「水戸」という地名の由来を形象化したカスケード

「水戸」という地名は、この地がかつて那珂川の舟運の河港として盛え「水運の戸口」とされていた事に由来している。
そして、磯崎新は水戸芸術館の入り口部分にカスケード(人工的に作った滝)を設置することで、地名の由来を形象化したのである。
上の写真は、カスケードが夜間にライトアップされた様子である。
高さ100mのシンボルタワー

水戸市のシンボルにもなっている、高さ100mを誇るシンボルタワー。
一辺が9.6mもある正三角形を組み合わせた幾何学的な形態と、その表層を覆う輝かしいチタン素材によって、そのシンボル性は一層強化されている。
また、シンボルタワーの地上86.4mの部分には展望室が設けられており、そこからは水戸市の街並みを一望することができる。
隣接する「水戸市民会館」

水戸芸術館の南側には、伊東豊雄と横須賀満夫によって設計された「水戸市民会館」が隣接している。
外観はシンプルな箱型建築だが、内部には上の写真の通り集成材架構による豊かな空間が展開されている。
水戸芸術館と一緒に注目しておきたい建築作品である。
水戸市民会館の詳細

水戸芸術館の建築データ
水戸市の有名建築物

今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。