sarugakuとは?

sarugakuとは、代官山に建つ、6つの棟からなる商業テナントビルの集合体のことである。
設計を務めたのは、伊東豊雄事務所出身の建築家平田晃久。
コンセプト「複数の山から生まれる谷」
このコンセプトを基に、代官山という戸建て住宅や小規模店舗がひしめく、高密度な街と調和した建築物が完成した。
平田晃久とは?
- 1971年 大阪府に生まれる
- 1994年 京都大学工学部建築学科卒業
- 1997年 京都大学大学院修士課程修了
- 1997年 伊東豊雄建築設計事務所勤務
- 2005年 平田晃久建築設計事務所設立
- 2008年 東北大学非常勤講師
- 2010年 東北大学大学院特任准教授
- 2015年 京都大学准教授
- 2018年 京都大学教授
平田晃久は、独特な設計スタイルによって、日本のみならず世界からも注目されている建築家である。
代表作としては、「太田市美術館・図書館」「桝屋本店」などが挙げられる。
自然界のあらゆる状態に注目し、それを抽象化して建築に落とし込むという特殊な設計スタイルが、作品にも存分に現れている。
建築の特徴

sarugakuの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 代官山という高密度な地域に建つテナントビル
- 複数の山によって構成される谷
- 山のような6つの棟
- 谷のような余白空間
- 6つの建物をつなぐ開口
代官山という高密度な地域に建つテナントビル

代官山は、建築家槇文彦氏が設計したヒルサイドテラスを中心に、小規模・低層な建築群が密集する、日本でも特異な街である。
そんな、特有のスケール感・密度感を持つ代官山にテナントビルを建てることになった平田氏は次のように考えた。
テナントビルの内部空間は、建築家が関与できない領域であるため、それらが集積する外部空間に新しい可能性を見出そう。
この考えを基に、山と谷という自然の地形をイメージした建築が計画された。
山と谷による構成

平田氏は、段状になった6つの建物を「山」、その間につくられる街路空間を「谷」と見立ててsarugakuの設計にあたった。
6つの棟に分けることで代官山特有の密度感を再現しつつ、分棟にした結果生じた隙間空間も代官山の起伏が激しい複雑な地形と呼応している。
山のような6つの棟

「山」と見立てた6つの棟は、どれも2階部分が少しセットバックされている。
この構成により、光や風といった自然要素を効果的に1階部分にも取り入れることが可能となっている。
さらに、セットバックした2階部分にも、椅子や机、観葉植物が置かれ、にぎやかな雰囲気を形成している。
谷のような余白空間

6つの建物の間に生じた余白空間は、「谷」と見立てられている。
実際の自然界に存在する「谷」には、植物・動物・人間によって豊かな生態系が育まれ、賑やかな空間が形成されている。
そんな、生命感ある「谷」での賑わいをここでも再現したという。
6つの建物をつなぐ開口

一見互いに干渉することなく分けられた6つの棟であるが、実はこれらをつなぎ合わせる工夫が開口部になされている。
いくつかの視点から見ると、視線が開口同士を通して繋がるという、幾何学的ルールによって開口部が配置されているのだ。
これにより、建物同士のつながりが生まれ、一層賑わいを感じる空間が形成される。
建築概要
- 所在地:東京都渋谷区猿楽町
- 竣工 :2007年10月
- 用途 :テナントビル
- 構造 :壁式鉄筋コンクリート造
- 高さ :7.340m
- 階数 :地下1階 地上2階
- 設計 :平田晃久建築設計事務所
- 施工 :松下産業
- 構造 :多田脩二構造設計事務所
- 設備 :明野設備研究所
施設概要
- 営業時間:店舗による
- 休館日 :店舗による
- URL :https://yy-ao.com/works/sarugaku/
- アクセス:代官山駅から徒歩3分
最後に・・・
以上がsarugakuの特徴でした。
自然界の「山」と「谷」という地形を、建築物とその間につくられる隙間空間で再現した、魅力的な作品になっていたと思います。
是非一度、sarugakuを訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。