小布施町立図書館とは?

小布施町立図書館とは、「栗と北斎のまち」として親しまれている長野県・小布施町に建つ図書館のことである。
設計を務めたのは、早稲田大学建築学科で長年教鞭をとる建築家「古谷誠章」。
コンセプト「行灯のような図書館」
このコンセプトを基に、夜間真っ暗になる小布施町を優しく照らす行灯のような図書館が完成した。
古谷誠章とは?
- 1955 東京都に生まれる
- 1978 早稲田大学理工学部建築学科卒業
- 1980 早稲田大学大学院修了
- 1997年 早稲田大学教授
古谷誠章は、住宅から公共施設まで幅広い建築を手掛ける、日本を代表する建築家である。
代表作としては、「静岡理工科大学建築学科棟」「神流町中里合同庁舎」などが挙げられる。
また古谷誠章氏は、1983年から助手、1997年からは教授として長年早稲田大学で教鞭をとっている建築家としても有名である。
建築の特徴




小布施町立図書館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 行灯のような図書館
- 広場のような居場所となる図書館
- 周囲の山々と呼応する大屋根
- 大屋根を支える3本の樹状柱
- 三角形の平面プラン
行灯のような図書館




小布施町は「栗と北斎のまち」として有名であり、年間の観光客数は120万人と人口の約100倍もの人数が毎年小布施町を訪ている。
しかし、観光客は訪れるものの夜になると周囲を照らす明かりがほとんどなく、真っ暗な街になっていた。
そんな様子を見た設計者の古谷誠章氏は、この真っ暗な夜の小布施町を優しく照らすような「行灯」のような図書館を計画することにしたと言う。
広場のような居場所となる図書館




さらに、街を優しく照らすだけにとどまらず、街の人々が出合い、自由に時を過ごせる場所を作りたいと考えた古谷氏。
そこで、図書館全体が大きな広場のような空間になるように設計を進めたという。
周囲の山々と呼応する大屋根




広場のように、各々が自由に時を過ごせる空間を作るために、古谷氏は空間全体を大屋根で覆う構成をとった。
この大屋根が内部空間におおらかさを与えつつ、天井面に設置した木製ルーバーによって親しみやすい温もりを内部空間にもたらしている。
大屋根を支える3本の樹状柱




広場のような自由な空間を実現するため、内部空間にはほとんど間仕切壁を設けない構成がとられた。
この、壁がほとんどない大空間を実現するために、構造としては3本の独立した樹状柱によって大屋根を支えている。
この樹状屋根が、大空間を実現しつつ森の中のような空間の柔らかさを作り出している。
三角形の平面プラン




大屋根に覆われた内部空間は、元々の敷地の形状がL字型であったことが大きく影響し、上から見ると三角形となっている。
その三角形の形状に納められたプランとしては、中央に開架書架を配置し、三角形を形成する三辺に沿うように閲覧室が配置された構成となっている。
建築概要
- 所在地:長野県上高井郡小布施町
- 竣工 :2009年6月
- 用途 :図書館
- 構造 :S造
- 階数 :地上1階
- 設計 :古谷誠章+NASCA
- 施工 :北野・黒崎・小布施建設共同企業体
- 構造 :オーク構造設計
- 設備 :設備計画(電気)
- URL :https://www.town.obuse.nagano.jp/lib/
最後に・・・
以上が小布施町立図書館の特徴でした。
大屋根と樹状柱によってつくられる大空間と、木製ルーバーと照明によってつくられる行灯のような空間が小布施町をより一層魅力的な街にしていたと思います。
ご覧いただきありがとうございました。
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