建築

ホキ美術館【日建設計】

ホキ美術館とは?

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ホキ美術館は、千葉県千葉市に建つ、日本初の写実絵画を専門にした美術館である。

設計を務めたのは、日本最大手の組織設計事務所「日建設計」。

コンセプト「零度のギャラリー」

このコンセプトを基に、物事の起点である零度のような存在となったギャラリー空間が完成している。

日建設計とは?

日建設計は、毎年、設計事務所売上ランキングで1位をとっている日本最大の組織設計事務所である。

日建設計の代表作としては、「NHKホール」「東京スカイツリー」「ポーラ美術館」などが挙げられる。

さらにホキ美術館は、現在、日建設計設計部門代表を務めている山梨知彦氏が設計を担当したことでもよく知られている。

建築の特徴

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ホキ美術館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 1対1で写実絵画と向き合える場
  2. ギャラリーの集合体
  3. チューブ状ボリュームの積み重なり
  4. わずかな円弧を描くチューブ
  5. 収束・発散するチューブ

1対1で写実絵画と向き合える場

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写実絵画は、画家が見たままにその存在を描く作品であり、年に数点のみしか描けないほど時間をかけて制作される。

そんな、膨大の時間・熱量によって製作された作品を「1対1で向き合える場」を作りたい、という館長の願いからこの美術館は建設された。

そのため、ギャラリー内部は壁の目地や突起した照明など、絵画鑑賞の妨げになるものを徹底的になくし、シンプルな空間が目指された。

ギャラリーの集合体

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そして、1対1で写実絵画と向き合える場として選ばれたのが「ギャラリー」という美術館の原型ともいえる空間である。

  • ギャラリー → 作品を展示する空間
  • 美術館   → 作品を展示、収集、保存し、文化に関する研究や教育まで行う場。

この純粋無垢なギャラリー空間のみを積層させることで、作品と鑑賞者の関係を限りなくピュアに近づけている。

チューブ状ボリュームの積み重なり

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ホキ美術館最大の特徴である、チューブ状ボリュームの積み重なり。

この細長いボリュームにギャラリーを収めることで、内部空間で1対1の関係をより強く形成できるようになっている。

わずかな円弧を描くチューブ

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さらに、このチューブ状のボリュームはわずかに円弧状に変形している。

この変形によって、一目で壁面に設置された絵画の全体像を把握することができ、各々の好みの作品へのランダムなアクセスを可能とする。

収束・発散するチューブ

東側(公園側) photo by W650neco/CC 表示-継承 3.0
西側(住宅側) photo by W650neco/CC 表示-継承 3.0

最長100mほどもある、東西に長く伸びるチューブ状のボリュームは、西側には収束し、東側では発散するような構成になっている。

  • 東側(公園側) → 公園側に対しては木々の中にギャラリーが貫入するように発散させる
  • 西側(住宅側) → 住宅側に対しては、住宅のスケール感と調和するために収束させる

公園側に発散したチューブは、片持ちで30mほど張り出しており、このキャンチレバーがホキ美術館を一層象徴的なものとしている。

建築概要

  • 所在地:千葉県千葉市緑区
  • 竣工 :2010年8月
  • 用途 :美術館
  • 構造 :S造、RC造
  • 階数 :地下2階 地上1階
  • 設計 :日建設計
  • 施工 :大林組
  • 構造 :日建設計
  • 設備 :日建設計
  • URL :https://www.hoki-museum.jp/

最後に・・・

以上がホキ美術館の特徴でした。

チューブ状のボリュームの収束・発散によってつくり出されるダイナミックな外観と、それに勝るとも劣らない洗練された内部空間が魅力的な建築になっていたと思います。

ご覧いただきありがとうございました。

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