中国中央電視台(CCTV)本部ビルとは?
- 設計:レム・コールハース/OMA
- 住所:中国・北京
- 竣工:2008年
- 用途:テレビ局本部
中国中央電視台(CCTV)本部ビルは、中国国営の公共放送テレビ局「中国中央電視台(CCTV)」の本部ビルとして2008年に完成した高層オフィスビル建築である。
建築の設計は、世界的建築家レム・コールハースが率いる建築設計事務所「OMA」が担当。
建築全体は、2棟の傾斜したタワーが上部と下部で連結し、クランク状の無限ループを形成。周囲のビル建築とは一線を画すアイコニックな外観を呈している。
さらに、建物の表面には不規則なグリッドが表出しているのが見て取れるが、これは建物表面に伝わる力の流れを表現したトラスの骨組みとなっており、荷重が大きい部分ほどグリッドの幅が狭くなっている。
この世界的にも類を見ない前衛的な建築作品は、中国国内でも賛否両論を生んでいるらしいが、レム・コールハース(OMA)の設計スタイルを顕著に表した作品として高い評価を得ている。
中国中央電視台(CCTV)本部ビルの建築的特徴
中国の首都・北京に建つ超高層ビル
中国の首都でありながら、東京と肩を並べるアジア屈指のグローバル都市「北京」。
そんな大都市北京には、今や数多くの超高層ビルが立ち並んでいるが、その中でも一際存在感を放つ建築物が北京の中央部に佇んでいる。そう、それこそが「中国中央電視台本部ビル」である。
中国国営の公共放送テレビ局「中国中央電視台(CCTV)」の本部として2008年に完成したこの施設は、そのアイコニックな形態から、北京のシンボルとして親しまれている。
レム・コールハース(OMA)の代表作
レム・コールハースは、オランダ・ロッテルダム出身の世界的建築家である。
OMAという建築事務所を1975年に設立して以来、ロッテルダム・ニューヨーク・北京・香港という4つの大都市に拠点を拡大し、世界中で数多くの建築作品を残している。
レム・コールハース(OMA)の設計タイルは、古い様式や固定概念に縛られない前衛的なスタイルとして知られており、特に中国中央電視台本部ビルは、OMAのスタイルを顕著に表した建築作品として知られている。
3つに分棟された施設
中国中央電視台の施設は、本部ビルの形態がかなり特徴的であるため、こればかりが有名になっているが、実は施設全体は3つの棟によって構成されている。
- 中国中央電視台本部ビル(写真中央左)
- テレビ文化センター(写真中央右)
- 中央エネルギーセンター(写真右下)
この3つの棟には、それぞれ別々のプログラムがあてはめられており、本部ビルには報道・配信・スタジオなどテレビ局としての機能を内包。
一方で、テレビ文化センターには、ホテル・劇場・映画館などの公共施設としての機能が入り、リング型をした中央エネルギーセンターには、設備系の機能が内包されている。
クランク状にループする本部ビル
3つの棟で構成されている施設とはいえ、やはり注目すべきは本部ビル一択である。
2棟の傾斜したタワーが上部と下部で結合され、クランク状にループするかのようなアイコニックな形態を持った本部ビル。
しかもこの大胆な形態を、高さ約230m・地上51階建てという大規模なスケール感で実現しているというのだから、もう驚き以外の何物でもない。
力の流れを表したグリッド状の骨組み
外形からして、他に類を見ない規格外な建築作品となっている中国中央電視台本部ビルであるが、さらに注目すべきなのはファサードに現れているグリッド状の骨組みである。
この骨組みは、建物表面に伝わる力の流れを視覚的に表している。
例えば、タワーの下層部分にはグリッドの幅が狭くなった箇所が確認できるが、これは、この部分には他の場所よりも大きな荷重がかかるということを表しているのである。
実際、この骨組みは、地震力などに耐える構造材としても機能しているから驚きだ。