【建築解説】大英博物館グレート・コート|ノーマン・フォスター

みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、イギリス・ロンドンに位置する大英博物館の中庭空間「大英博物館グレート・コート」の建築的特徴を解説していきたいと思います。

ノーマン・フォスターによって生み出された、新旧の対比が美しいアトリウム空間です。

是非最後までご覧ください。

目次

大英博物館グレート・コートとは?

photo by Eric Pouhier/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:ノーマン・フォスター
  • 住所:イギリス・ロンドン
  • 竣工:2000年
  • 用途:博物館

大英博物館グレート・コートは、世界三大博物館の一つとして知られる「大英博物館」の中庭広場部分を指す名称である。

この広場は元々、新古典主義建築の代表作として知られる大英博物館の中庭として展開されていた空間ではあったが、そこには大英図書館の書庫や閲覧室などが散在し、混沌とした空間になってしまっていた。

しかし、2000年にその図書館機能を一掃し、機能を整理したうえで、中庭全体にガラス屋根を架け内部空間化するという大胆な改修が行われた。

この改修設計を担当したのは、イギリスを代表する建築家「ノーマン・フォスター」である。

古代ギリシアの建築様式を模した新古典主義の建物と、その建物の中央を覆いつくす現代的なガラスの屋根による、新旧の対比が魅力的な建築作品がここに生み出されたのである。

大英博物館グレート・コートの建築的特徴

新古典主義の傑作「大英博物館」

photo by Ham/CC 表示-継承 3.0

世界三大博物館の一つともしても名高い、イギリス・ロンドンに建つ「大英博物館」。

18世紀中頃~19世紀初頭にかけて起こった建築思潮「新古典主義」の傑作としても知られる大英博物館は、ファサードに並ぶイオニア式の独立円柱や、その上に乗っかる三角形のペディメントなどによって、古代ギリシア建築を彷彿とさせる荘厳な外観を作り出している。

展示品は、人類文化の始まりから現在までの遺産を包括的に取り扱っており、世界最大級の国立博物館としても知られている。

そんな、建築・展示品の両方において世界トップクラスの実力を誇る大英博物館であるが、実は最大の魅力は内部空間にある。

20世紀末に行われた中庭部分の大規模改修

photo by Luke Massey & the Greater London National Park City Initiative/CC 表示 2.0

上の写真を見てもらうとわかるが、大英博物館の中央部には、何やらガラスで覆われた四角い領域が存在する。

ここは元々、大英博物館の中庭として展開されていた領域なのだが、20世紀終わりごろに行われた大規模改修によって、中庭全体を覆うようにガラス屋根が架けられ、内部化されたのである。

そもそも、この中庭部分には、昔から「大英図書館」の機能が設置されており、書庫や閲覧室といった要素が散在し、混沌とした領域になってしまっていた。

しかし、利用者数が増えた大英博物館内では、その混沌とした状況のせいで、混雑などが起こってしまっており、世界を代表する博物館としてもあまり良い状況ではなかった。

そこで、中庭に散在していた大英図書館の機能を1998年に移転し、その上で大規模な改修工事を執り行う運びとなったのである。

そして、その大規模改修の設計を担当したのが、イギリスを代表する建築家「ノーマン・フォスター」なのである。

ノーマン・フォスターの代表作

photo by bigbug21/CC 表示-継承 2.5

大英博物館の大規模改修を行ったノーマン・フォスターは、イギリス・マンチェスターに労働者階級として生まれながら、1999年には「一代貴族」にまで成り上がった人物である。

1970年代に登場した建築思潮「ハイテク建築」の名手として名をはせ、世界各地で現代的な建築作品を数多く残している。

そんな、イギリスを代表する建築家ノーマン・フォスターは、大英博物館という古典建築の大規模改修においても、自信の現代的なスタイルを貫き通している。

中庭全体を覆う有機的なガラス屋根

中庭の中央には、大英図書館の円筒型のリーディング・ルーム(閲覧室)だけが残され、その棟から四方に有機的なガラス屋根が広がる構成となっている。

広範囲をガラスの屋根で覆い内部化するといった手法は、そこまで珍しいものではないのだが、大英博物館のガラス面は曲面で構成されているため、その美しい構成が一層際立って感じる。

また、このガラスの屋根が架けられたことによって、博物館全体に中心点が生み出され、従来の混沌とした博物館内部が一気に明快な構成になったことも忘れてはいけない。

新旧の対比が織りなす建築美

photo by Txllxt TxllxT/CC 表示-継承 4.0

機能面の問題も当然重要だが、何より、このガラス屋根を設置したことによって生まれた、新旧の対比がなによりも美しい。

中庭のファサードを作り出すイオニア式の列柱と、その上に載る三角形のペディメント。これは「旧」の要素を象徴的に現わしている。

一方で、その旧の要素の上部全体を覆いつくすガラス屋根。これは明らかに「新」の要素となる。

この新旧の見事な対比こそ、大英博物館の真の魅力なのである。

ノーマン・フォスターの代表作

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今回はこれで以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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