芦原義信とは?
↓芦原義信の息子「芦原太郎」が芦原義信について解説している動画
- 1918 東京都に生まれる
- 1942 東京帝国大学工学部建築学科卒業
- 1945 坂倉準三の事務所に入所
- 1953 ハーバード大学大学院で修士号を取得
- 1956 芦原建築設計研究所設立
芦原義信は、劇場や博物館など、多くの大規模公共建築を手掛けてきた、昭和期を代表する建築家である。
代表作としては「東京芸術劇場」や「国立歴史民俗博物館」などが挙げられ、日本を代表する建築物も複数手掛ける。
さらに、芦原義信が60歳の時に刊行した『街並みの美学』では、建築本体だけでなく「都市景観をふまえた上での建築の在り方の重要性」を戦後の日本でいち早く述べており、建築界に大きな影響をもたらた。
今回は、戦後の建築界に多大な影響を与えた建築家「芦原義信」の建築作品7選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家芦原義信の建築作品7選
1.東京芸術劇場





- 住所:東京都豊島区西池袋1-8-1
- 竣工:1990年
- 用途:劇場
- URL:公式ページ
東京芸術劇場は、大中小4つのホール・ギャラリー・レストランなどからなる、池袋に建つ複合文化施設である。
この建築最大の特徴は、なんといっても、前面広場側に設けられている「大規模ガラスアトリウム空間」だ。
このアトリウムの内部には、大中小それぞれのホールへ繋がるエレベータが設置されており、施設全体の「基点」として作用している。
さらに、このアトリウムの魅力的な点は、その外観に泡われる形態であろう。
見るものを中へ引き込むような求心力を持っている。
2.駒沢オリンピック公園総合運動場体育館・管制塔




- 住所:東京都世田谷区駒沢公園1-1
- 竣工:1964年
- 用途:体育館・管制塔
- URL:公式ページ
駒沢オリンピック公園総合運動場は、1964年の東京オリンピックで使用する施設として建設されたスポーツ施設である。
駒沢オリンピック公園内には、球場・プール・体育館など複数の施設が建てられているが、この中で芦原義信が設計をしたのは「体育館」と「管制塔」。
「体育館」は、上空から見ると八角形平面をしているが、その八角形を構成する大屋根を立面的に見ると、上下に波打つようなダイナミックな形態をしており、人々の好奇心を刺激するような魅力的な構成となっている。
一方で「管制塔」は、五重塔を彷彿とさせるような和風な構成が特徴的で、管制塔としての機能はもちろん、オリンピック記念塔としての役割も果たしている。
3.岡山シンフォニーホール




- 住所:岡山県岡山市表町1-5-1
- 竣工:1991年
- 用途:店舗 ホール 事務所
- URL:公式ページ
岡山シンフォニーホールは、クラシックコンサートを中心に利用されている、岡山市北区に建つコンサートホールである。
建築としては見ての通り、円筒型の形態が特徴的だが、この形態を採用した意図は不明。
円筒型の内部の構成は、下層が「店舗」、中間の窓がない層が「ホール」、上層が「オフィス」という風にそれぞれの機能が分かれて配置されている。
4.更埴文化会館(あんずホール)




- 住所:長野県更埴市大字杭瀬下742-1
- 竣工:1990年
- 用途:劇場 会議室 図書館
- URL:公式ページ
更埴文化会館は、ホール・展示ギャラリー・図書室など複数の機能が入った、長野県千曲市に建つ複合文化施設である。
施設全体としては、それぞれの機能が「大ホール棟」「小ホール棟」「科学展示棟」「図書館棟」の4つの棟に分散配置されている。
そして、その分散配置した機能を、「アーバン・コリドー(都市の回廊)」と呼ばれる、長さ約110m・幅約7mの細長い回廊空間で統一。(写真左の傾斜屋根の部分)
このアーバン・コリドーは、市民のたまり場としての役割を果たしつつ、ホールに至るまでの期待度を演出する効果ももたらす。
5.国立歴史民俗博物館




- 住所:千葉県佐倉市城内町117
- 竣工:1980年
- 用途:博物館
- URL:公式ページ
国立歴史民俗博物館は、千葉県佐倉市に建つ、日本の歴史、民俗学、考古学の研究・展示を主目的として建設された歴史博物館である。
上空写真を見るとわかりやすいが、この建築では「一つの大きな中庭」と「中庭沿いを一周する回廊」を中心として、その周りに複数の展示室が絡みつくようにして博物館が展開されている。
この構成によって、来館者は広い博物館内でも、中庭を通して常に自分の位置を確認でき、さらには中庭に出て気分転換もできるようになっている。
非常にシンプルであるが、シンプルで分かりやすいからこそ、来館者にとっては非常に居心地の良い空間となる。
6.横浜市市民文化会館「関内ホール」




- 住所:神奈川県横浜市中区住吉町4-42-1
- 竣工:1986年
- 用途:劇場
- URL:公式ページ
横浜市市民文化会館「関内ホール」は、横浜市中区にある市営の多目的ホールである。
落語・演劇・ミュージカルなど上演する場として利用されており、1980年から毎年横浜で開催されている「ヨコハマ映画祭」も、基本的にはこの関内ホールで行われている。
建築としては、街路に対して「角」となってしまう建物部分の壁を後退させ、小広場とした「入隅空間」が特徴的。
この構成によって、街に新たな居場所を提供しつつ、街と施設の親和性を高める効果がもたらされている。
7.第一勧業銀行本店




- 住所:東京都千代田区内幸町1-1-5
- 竣工:1981年
- 用途:銀行
第一勧業銀行本店は、現在の「みずほ銀行」の前身にあたる「株式会社第一勧業銀行」の本社ビルである。
芦原義信はこのビル建築を設計するにあたり、日本やアメリカに建つ100m越えの優れたビル建築を見学し、その構成などを徹底的に研究している。
その上で「敷地周辺の環境」や「都市の軸線」、「機能との関係性」などあらゆる要素を複合した上で、第一勧業銀行本店を設計した。
高層ビルの設計となると、建築の形態はいじりにくくなるため、形態以外の部分でいかにして魅力的な建築空間を作れるのかを、徹底的に模索した結果として建設されたのがこの「第一勧業銀行本店」というわけである。
芦原義信の著書
今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、芦原義信が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
コメント