Tokyo Apartmentとは?

Tokyo Apartmentは、3つの賃貸住宅と1つのオーナー住宅からなる東京都に建つ集合住宅のことである。
設計を務めたのは、2025年大阪万博会場のデザインプロデューサーを務めている建築家「藤本壮介」。
コンセプト「無関係の関係性」
このコンセプトを基に、東京の街並みを再読し直し、新たな街と家との関係性を作り出している。
藤本壮介とは?
- 1971 北海道に生まれる
- 1994 東京大学工学部建築学科卒業
- 2000 藤本壮介建築設計事務所設立
藤本壮介は、近年国内のみならず国外にも活動の幅を広げている、最も勢いのある建築家である。
代表作としては、「House N」「House of Music」「白井屋ホテル」などが挙げられる。
2025年に行われる大阪万博ではデザインプロデューサーとして、会場全体を囲うようにかかる木造の大屋根建築の計画を発表し、世界から注目を集めている。
建築の特徴

Tokyo Apartmentの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 東京という街の再読
- 家型の積層
- 家型のズレで生まれる中間領域
- 中間領域の多様性
- 無関係の関係性
東京という街の再読

藤本氏の出身地北海道では、広大な自然があるが、その広大さゆえに「自然と建築」あるいは「外部と内部」が絶対的対立関係になっている。
一方で、東京という街は、「自然と建築」「外部と内部」が複雑に混在しているからこそ、絶対的な境界がなくその間の距離感が近い。
この東京の街並みを考慮したうえで、新たな集合住宅の在り方を考えていったという。
家型の積層

この住宅では、「集合住宅」という名前の通り、住宅型という記号性を持ったボリュームを積み上げるというシンプルかつ明快な操作ををまず行っている。
この、今までありそうでない操作によって、人々に未知の記憶の風景を想起させるような大胆さを持った建築になっている。
家型のズレで生まれる中間領域

家型ボリュームの積層という操作の次には、それぞれのボリュームにズレをもたらす操作が行われている。
このズレによって、家と街の間に中間領域といえる空間が生まれる。
この中間領域は、街の中にいるのか家の中にいるのかわからなくなるような空間となっており、「この体験こそ東京らしさである」という藤本氏の考えが現れていると思う。
中間領域の多様性

この中間領域を形成しているのは、上の図のように「ロフト」の場合もあれば、「梯子」や「外階段」といった動線が中間領域を成している場合もある。
これらの多様な中間領域を内包した集合住宅が、東京の街並みを再構築しているのである。
無関係の関係性

家型ボリュームのズレによって、下の階の空間には、その部屋の構造とは無関係な上階を支えるための柱が空間を串刺しにしている。
このような柱の構成は、通常なら活動の邪魔になるため敬遠されるが、藤本氏はこの柱によって住民の間に「無関係の関係性」が生じると述べている。
自分とは無関係の構造体(柱やブレース)が自分の空間に侵入することによって両者の間に無関係という関係性が生まれるのである。
建築概要
- 所在地:東京都板橋区
- 竣工 :2010年3月
- 用途 :長屋
- 構造 :木造 一部RC造
- 階数 :地下1階 地上3階
- 設計 :建築藤本壮介建築設計事務所
- 構造 :佐藤淳構造設計事務所
- 施工 :UBM
最後に・・・
以上がTokyo Apartmentの特徴でした。
家型ボリュームを積み上げるというシンプルな操作によって、東京の街並みを感じさせるような複雑な空間が生まれている魅力的な建築物だったと思います。
是非一度Tokyo Apartmentに訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。