【建築紹介107】横浜港大さん橋国際客船ターミナル:foa

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横浜港大さん橋国際客船ターミナルとは?

横浜港大さん橋国際客船ターミナルは、国内のみならず国外からも多くの客船が発着する横浜港に建つ、いわば「海の玄関口」となる建物である。

設計を務めたのは、当時無名であったイギリスの建築家らによって設立された建築設計事務所「foa」。

コンセプト「Continuous Architecture(連続的建築)」

このコンセプト通り、この建築では壁や床に曲面が用いられることで、すべての空間がシームレスに連続しているランドスケープのような建築がつくり出されている。

foaとは?

foaとは、イギリスの建築家「ファシッド・ムサヴィ」と「アレハンドロ・ザエラ・ポロ」のよって設立された建築設計事務所である。

foaという名は、foreign office architects の頭文字をとったものである。

大さん橋のコンペが行われた時、彼らはまだ無名の若手建築家であったが、この建築で一躍世界中に名が知られる建築家となった。

建築の特徴

大さん橋の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 国際コンペによる大規模なプロジェクト
  2. 眺望に配慮した構成
  3. 曲面を多用したデザイン
  4. 丘のような屋上広場
  5. 洞窟のようなホール空間

国際コンペによる大規模なプロジェクト

以前に存在した大さん橋が建築的に限界を迎えたため、新しい大さん橋ターミナルの設計者を決める国際コンペが行われました。

このコンペで求められたことは、海外からの客船を迎えるのにふさわしい建築でありながら、横浜のシンボルともなるような建築であった。

この国際コンペには世界41か国から660作の応募が集まり、その注目度が現れた数字となっている。

眺望に配慮した構成

foaが提案した案では、建築の最大高さが約15mとかなり抑えられている。

これによって、客船からの眺望だけでなく、横浜の街全体としての眺望を遮らないように配慮している。

曲面を多用したデザイン

foaの提案は、「床」「壁」「天井」という絶対的な概念を取り払い、それらを曲面によってシームレスに繋いだ空間が特徴的であった。

この曲面を多用した空間は、約30年前にも関わらずフルCGでデザインされたことが世界的にも話題を集めた。

当初の提案は、現在竣工した建物よりももっと曲面的な空間であったが、技術面やコスト面などの問題から今の建築へと変化していった。

丘のような屋上広場

曲面を多用した構成は、屋上に起伏を持つ丘のような空間をつくり出した。

この屋上の床はウッドデッキと天然芝となっており、建物の屋上空間とは思えないようなランドスケープ的空間となっている。

この屋上空間は、公園として市民や観光客に開放されている点も、親しみやすい要因なのかもしれない。

洞窟のようなホール空間

屋上で丘のように隆起した地面の下には、写真のような柱のない大空間が広がっている。

この大空間は、折板構造という1枚の折り紙を折ったような強固な構造体によって実現。

このようにつくられた空間は、天井の低さや照明の当て方などの要素も交わり、まるで洞窟の中のような空間となっている。

建築概要

  • 所在地:神奈川県横浜市中区
  • 竣工 :2002年11月
  • 用途 :客船ターミナル駐車場 多目的ホール
  • 構造 :S造、RC造
  • 階数 :地下1階 地上2階
  • 設計 :foa
  • 施工 :清水・東亜建設工業・東亜建設産業・日本鋼管工事・松尾建設共同企業体
  • 構造 :構造設計集団<SDG>
  • 設備 :森村設計
  • URL :https://osanbashi.jp/

最後に・・・

以上が横浜港大さん橋国際客船ターミナルの特徴でした。

景観に配慮して低く抑えられ、曲面を多用した構成は建築というよりランドスケープのような魅力を持った空間になっていたと思います。

是非一度、大さん橋に訪れてみてください!!

ご覧いただきありがとうございました。

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