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日立駅【妹島和世】

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日立駅とは?

日立駅とは、総合電機メーカー「日立製作所」創業の地として有名な、茨城県日立市にある駅舎のことである。

設計は、日立市出身の建築家妹島和世氏が務めた。

「日立市の顔となるような施設」「元々東西に分かれていた駅舎を連携させること」

これらの要望に対して妹島氏は、全面ガラス張りによる橋上駅舎というインパクトのある構成を提案し、特徴的な駅舎が完成した。

たけひこ
たけひこ

このように、日立市の顔となる特徴的な駅舎を今回ご紹介します!!

妹島和世とは?

  • 1956 茨城県日立市に生まれる
  • 1979 日本女子大学卒業
  • 1981 伊東豊雄建築設計事務所入所
  • 1987 妹島和世建築設計事務所設立
  • 1995 西沢立衛とSANAAを設立
  • 1998 日本建築学会賞受賞
  • 2006 日本建築学会賞2度目受賞
  • 2010 プリツカー賞受賞

妹島和世は、2010年に建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞した建築家である。

プリツカー賞とは?

プリツカー賞は、建築によって人類や環境に深く貢献してきた人物に対して贈られる賞である

妹島氏は、西沢立衛と結成した建築家ユニットSANAAとしてプリツカー賞を受賞。

女性だけで見ると、日本人では唯一、世界的にも国立競技場の初期案で話題となったザハ・ハディド氏に次ぎ2人目となる受賞となる。

妹島氏が手がけた作品としては、「金沢21世紀美術館」「すみだ北斎美術館」などが有名である。

建築の特徴

日立駅の建築的特徴としては次のような点が挙げられる。

  1. 東西を統一した橋上駅舎
  2. ガラス張りによる構成
  3. 太平洋を一望できる展望スペース
  4. 外部と内部を繋ぐ工夫
  5. 茨城県初となる「えきピアノ」

東西を統一した橋上駅舎

日立駅の概略配置図

以前の日立駅は、中央口と海岸口に2つの駅舎が存在した。

旧・日立駅
旧海岸口駅舎

以前の駅舎は、中央口・海岸口ともにインパクトの薄いものであり、それぞれの関係性も希薄であった。

しかし、日立駅周辺には、日立市役所や日立シビックセンターなどの主要施設も存在したため、新しい駅舎には「東西の繋がり」が求められた。

そんな中、設計者の妹島和世氏は駅舎を橋上駅舎とし、自由通路が線路をまたぐ構成をとることで、東西が一体となる新しい駅舎を提案した。

橋上駅舎とは?

橋上駅舎とは、ホームの上部に設けられた駅舎のことである。

地上駅舎の場合、線路を挟んで両側に駅舎を配置するため、双方の連携が難しい。

これに対して橋上駅舎では、線路の上を自由通路により結ぶことで、左右の連携を強めることができる。

たけひこ
たけひこ

橋上駅舎という構成によって、かつて分断されていた東西が一体となり、活気のあふれる駅舎が完成しました!!

ガラス張りによる構成

設計コンセプト「まちに溶け込む駅」

日立市は海と山に挟まれた南北に細い街であり、日立駅はその海岸沿いに位置する。

この魅力的な景観を壊さないために、建物を両面ガラス張りとし、風景に日立駅を溶け込ませつつ、内部からは360度日立市の風景を楽しむことができる構成になっている。

太平洋を一望できる展望スペース

日立駅の東端にある展覧スペースからは、太平洋の眺めが一望できる

さらに、展覧スペースに設定してある特徴的な椅子は、SANAAが設計した「フラワーチェア」というものである。

外部と内部を繋ぐ工夫

ガラスカーテンウォールによって風景に溶け込んだ外観が特徴であることは説明したが、日立駅は内部空間も風景に溶け込む工夫がされている。

それは、床面につやのあるコンクリート、天井にアルミパンチングメタルという、反射性の高い仕上げがなされているという点である。

この構成によって、外部の風景や光などを淡く反射し、外部と内部の一体性を感じ取れるような内部空間を作り出している。

妹島和世×アルミ
すみだ北斎美術館

妹島和世氏は、アルミという素材を良く用いることで知られている。

代表作「すみだ北斎美術館」でも、外壁にアルミパネルを用いることで、周辺の風景を映し込み、まちに調和する建築をつくり出している。

茨城県初となる「駅ピアノ」

日立駅内部には、2019年に茨城県初となる「駅ピアノ」が設置された。

駅ピアノ

「駅ピアノ」とは、駅舎に設置され、誰でも自由に引くことができるピアノのことである。

他にも「街角ピアノ」「空港ピアノ」などがあり、これらを総称して、ストリートピアノといわれている。

たけひこ
たけひこ

運が良ければ、ガラス張りの美しい日立駅で、見事な演奏を聴けるかもしれません!!

建築物概要

  • 所在地:茨城県日立市幸町
  • 竣工 :2012年2月
  • 用途 :駅舎
  • 構造 :鉄骨造
  • 高さ :約13m 
  • 階数 :地上2階
  • 設計 :妹島和世建築設計事務所
  • 構造 :ジェイアール東日本建築設計事務所
  • 施工 :東鉄工業水戸支店
  • 設備 :ジェイアール東日本建築設計事務所

施設概要

最後に・・・

以上が日本を代表する女性建築家妹島和世さんが手がけた日立駅の特徴でした。

ガラス張りによる橋上駅舎が魅力的な他に類を見ない作品になっていたと思います!!

たけひこ
たけひこ

日立市には他にも、妹島和世さんが手がけた建築作品がいくつか存在するため、機会があれば是非日立市を訪れてみてください!!

ご覧いただきありがとうございました!!

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