ふじようちえんとは?

ふじようちえんは、OECD(世界経済協力機構)によって、世界で最も優れた学校だと認定された、東京都立川市の幼稚園である。
設計を務めたのは、夫婦で経営している手塚建築研究所。
建築は、楕円形のドーナツ型をしており、中庭と屋上デッキで子どもたちが遊びまわる、回遊的な空間となっている。
また、この幼稚園は2008年、日本建築学会作品賞を受賞し話題となった。
そんな、ふじようちえんの特徴を今回紹介します!!
手塚建築研究所とは?
手塚建築研究所とは、建築家手塚貴晴と手塚由比の夫婦が運営する建築設計事務所である。
- 1964 東京都に生まれる
- 1987 武蔵工業大学卒業
- 1990 ペンシルベニア大学院修了
- 1994 手塚由比と手塚建築企画設立
- 1969 神奈川県に生まれる
- 1992 武蔵工業大学卒業
- 1992 ロンドン大学に留学
- 1994 手塚由比と手塚建築企画設立
このお二人は、「情熱大陸」や「プロフェッショナル仕事の流儀」などにも出演された経験も持つ。
また、子どものための空間設計を多く手がける手塚建築研究所は、こども環境に関する講演会を国内外様々な場所で行っている。
建築の特徴

ふじようちえんの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 回遊的な屋上デッキと中庭
- 屋上デッキに設けられた天窓
- 建物と中庭の間にある半屋外空間
- 建物を貫く3本のケヤキ
- 4つのワンルーム空間
- 保護者のための工夫
回遊的な屋上デッキと中庭

ふじようちえんの最大の特徴は、この回遊的な屋上デッキと中庭の一体性である。
設計コンセプト「園舎は巨大な遊具、子どもが育つ道具」
このコンセプトに基づいて、屋上デッキはドーナツ型をしているため、どこまでも行き止まりがなく回遊的な活動を誘発している。
さらに、屋上デッキからは、中庭へ降りる滑り台と階段が設けられ、この両者が一体的に使用でき、一つの村となるように想定されている。
屋上デッキに設けられた天窓

上の写真のように屋上デッキの床には、無数の天窓が設けられている。
この天窓からは、保育室の様子を子どもたちがのぞき込むことができ、ユニークで遊び心のある構成となっている。
建物と中庭の間にある半屋外空間

ドーナツ型の建物と中庭の間には、屋根のある半屋外空間が存在する。
この半屋外空間は、雨の日でも「外で」遊んだり、おしゃべりするなどの活動を可能としている。
また、この構成は、日本住宅の縁側と類似するものがある。
建物を貫く3本のケヤキ

ふじようちえんは、「ここは東京か?」と思うほど周囲に木々が生い茂っている。
その木々の中には、ふじようちえんを貫通する3本のケヤキが存在。
木が貫通している屋上デッキの部分に、網をかけることで、子ども達が軽く木登りをして遊べる遊具が作り出されている。
4つのワンルーム空間

ふじようちえんの保育室は、4つのワンルーム空間が合わさったような構成となっている。

このように、4つの大きなブロックに分けられている内部空間は、それぞれの空間に壁はほとんど存在しない。
その代わりに棚や机などのによって空間を分節。
この構成により、全体が一体となったにぎやかな空間がつくられている。
保護者のための工夫
ふじようちえんでは、地域と連携した施設整備にも取り組んでいる。
例として、保護者が園内外から出入り可能なカフェやランチルームを設け、語らいの場としている。
さらに、ランチルームでは、定期的に保護者と子どもが一緒に昼食を食べる機会を設けて、コミュニケーションをとれるような活動も行われている。
建築概要
- 所在地:東京都立川市
- 竣工 :2007年1月
- 用途 :幼稚園
- 構造 :鉄骨造
- 階数 :地上1階
- 高さ :約2.9m
- 設計 :手塚建築研究所
- 構造 :MASAHIRO IKEDA
- 施工 :竹中工務店
- 設備 :竹中工務店
施設概要
- Tel :042-536-4413
- 見学 :不定期開催(事前予約必要)
- 営業時間:10:00~12:00(一般見学者)
- アクセス:武蔵砂川駅下車徒歩15分
- URL :ふじようちえん (fujikids.jp)
最後に・・・
以上が、手塚建築研究所が手がけたふじようちえんの特徴でした。
施設全体が大きな遊具のようになり、子ども達が回遊的に遊ぶ様子が魅力的な幼稚園だったと思います!
是非一度、ふじようちえんに訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。