皆さんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、リファイニング建築(再生建築)を数多く手がける建築家「青木茂」の建築作品5選を解説したいと思います。
建物の長寿命化・再生を目的としたリファイニングで、数多くの建築物を生き返らせてきた建築家です。
是非最後までご覧ください。
青木茂とは?
青木茂の経歴
- 1948年 大分県に生まれる
- 1971年 近畿大学九州工学部建築学科卒業
- 1971年 鉄建建設株式会社入社
- 1977年 アオキ建築設計事務所設立
- 1985年 青木茂建築工房一級建築士事務所に改称
- 1990年 株式会社青木茂建築工房設立
- 2008年 首都大学東京戦略研究センター教授
- 2013年 首都大学東京特任教授
- 2019年 韓国モグォン大学特任教授
青木茂は、東京と福岡に事務所を構え、図書館・駅舎・交流館など多種多様な建築作品を手がけている建築家である。
代表作には「宇目町役場」や「八女市多世代交流館」といった、既存建物を改修し、新しく生まれ変わらせた作品が数多く挙げられる。
このような、老朽化した建物を新しく生まれ変わらせた建築を、青木茂は「リファイニング建築(再生建築)」と呼んでいる。
リノベーションやコンバージョンにも似た概念ではあるが、建築の再生や長寿命化に強くフォーカスを当てているという点においては、青木茂独自の設計手法だといえるだろう。
リファイニング建築の詳細に関しては、公式ページをご覧いただきたい。
青木茂の建築作品5選
1.宇目町役場
- 設計:青木茂
- 住所:大分県佐伯市宇目大字千束
- 竣工:1999年3月
- 用途:町役場
- URL:公式ページ
宇目町役場は、2005年まで大分県に存在していた「宇目町(うめまち)」の町役場として建設された庁舎建築である。
現在、宇目町が周辺の市区町村と合併し「佐伯市」になったことから、宇目町役場は「佐伯市宇目振興局」に改称し、宇目の復興拠点として機能している。
宇目町役場は、元々グリーンセンターとして利用されていた建物を、青木茂お得意のリファイニングによって町役場に再生している。
グリーンセンター時代の建物は、閉鎖的で暗いイメージがあったのだが、そこにチューブ状のガラス張り空間を付加するなどして、明るい雰囲気の建物に再生。
さらに、既存建物では耐震性が不十分であったため、ブレースを付加するなどして、耐震性能の向上も図っている。
2.八女市多世代交流館「共生の森」
- 設計:青木茂
- 住所:福岡県八女市高塚191
- 竣工:2001年5月
- 用途:交流館
- URL:公式ページ
八女市多世代交流館「共生の森」は、多目的ホール・風呂場・大広場などの機能からなる、福岡県八女市(やめし)に建つ交流館である。
八女市多世代交流館も、青木茂のリファイニングによって生み出された建物であり、元々老人福祉センターとして利用されていたものを交流館へと用途変更している。
リファイニング後の建物には、屏風をイメージしたという金属板のカーテンウォールが付加されており、シンボリックな外観を形成するとともに、雨風による躯体の劣化を防ぐ役割も果たしている。
一方で、内部は外観とは対照的に、木材で仕上げられているため、交流館という用途に適した、温かみのある空間が作られている。
3.港区立伝統文化交流館
- 設計:青木茂
- 住所:東京都港区芝浦1₋11₋15
- 竣工:2019年12月
- 用途:交流館
- URL:公式ページ
港区立伝統文化交流館は、港区の指定有形文化財である「旧協働会館」を保存しながら、港区の交流拠点となる施設へとリファイニングした建物である。
旧協働会館のリファイニングにあたっては、敷地が拡張されたこともあり、建物全体を一度持ち上げ、西に約8mほど移動させるという「曳家工事」を行っている。
その上で、空いた東側スペース(写真左)に増築棟を建設し、その中に昇降機やスロープを設置することによって、交流施設には不可欠な、建物のバリアフリー化を図っている。
歴史ある建物を再生保存しつつ、交流館へと見事に用途変更を行った、優れた建築作品である。
4.神埼駅
- 設計:青木茂
- 住所:佐賀県神埼市神埼町
- 竣工:2001年
- 用途:駅舎
- URL:参考ページ
神埼駅は、JR九州長崎本線の駅として、2001年に佐賀県神埼市に建設された駅舎建築である。
ここまで紹介したリファイニング建築とは異なり、青木茂による新築の建築作品である。
建築全体としては、足のついたロボットや動物のようにも見えるガラス張り建物が印象的な外観を形成している。
この独特な形態は、敷地の北東方向に存在する吉野ケ里遺跡の「高床式倉庫」をモチーフにしているそう。
5.真庭市立中央図書館
- 設計:青木茂
- 住所:岡山県真庭市勝山
- 竣工:2018年
- 用途:図書館
- URL:公式ページ
真庭市立中央図書館は、岡山県真庭市の公共図書館として建設された建築物である。
この図書館も青木茂お得意の「リファイニング」によって成立しており、元々真庭市勝山庁舎として使用されていた建物をリファイニング(耐震補強や補修)することによって、図書館として再生利用している。
また、この施設では単に耐震補強するだけだはなく、CLTの壁や木製ルーバーなどを挿入することによって、木材に包まれた豊かな図書空間を作り出している。
青木茂が提唱するこのリファイニング建築は、今後の社会で確実に需要が高まる技術・建築であろう。
青木茂の作品集
参考サイト・書籍
- 青木茂‐Wikipedia
- Shigeru AOKI‐青木茂建築工房
- リファイニング建築[ 再生建築 ]とは‐青木茂建築工房
- 宇目町役場庁舎‐青木茂建築工房
- 八女市多世代交流館「共生の杜」‐青木茂建築工房
- 共生の森HP掲載パンンフ‐八女市
- 港区立伝統文化交流館₋青木茂建築工房
- 神埼駅‐Wikipedia
- 【社会福祉学科】とんでる建築物:KANZAKI(神埼)駅!‐西九州大学
本記事は、上記のサイトや書籍を参考に執筆しました。
今回はこれで以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。