白井晟一とは?

- 1905 京都府に生まれる
- 1924 京都高等工芸学校(現在の京都工芸繊維大学)入学
- 1928 ハイデルベルク大学に入学
- 1931 ベルリン大学に移る
- 1983 死去
白井晟一は、谷口吉郎や前川國男といった日本建築界の巨匠と共に、昭和期を代表する建築家として知られる人物である。
白井晟一が生きた時代は、ヨーロッパからモダニズム建築が入ってきて、いかにモダニズムと日本の伝統を融合するかというのが、日本全体の潮流であった。
そんな中でも、白井晟一はモダニズム建築とは一線を画した、独自の造形による作品を多く手がけていることから「異端の作家」などと称されることもある。
今回はそんな日本建築界の重鎮「白井晟一」の代表作6選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家白井晟一の建築作品6選
1.善照寺本堂




- 住所:東京都台東区西浅草1丁目4−15
- 竣工:1958年
- 用途:寺院建築
善照寺本堂は、東京都台東区西浅草にある商店街のすぐ裏手に、ひっそりと佇む寺院建築である。
白井晟一の最高傑作ともいわれている。
建築としては、日本の伝統を感じる「切妻屋根」と「長く伸びた庇」が特徴的であるが、もう一つ注目したい特徴がある。
それは、建物から張り出す床で作られた回廊空間で、この床が地上から1m程浮いていることで、建物全体に浮遊感が生まれ、なんとも不思議な感覚に陥る。
おそらく、地上から床を1m程浮かせることで、日常と非日常を隔てる「結界」を作り出しているのだろう。
2.渋谷区立松濤美術館








- 住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
- 竣工:1980年
- 用途:美術館
- URL:公式サイト
渋谷区立松濤美術館は、渋谷区松濤という高級住宅街に建つ美術館である。
住宅街という周辺環境に対して白井晟一は、周囲に配慮し、外周部の開口部を減らすことによって内的な空間を作り出した。
一方で、建物中央に、空まで貫通する煙突のような吹き抜け空間を設けている。
この吹き抜けがあることで、閉じた空間でも十分な採光が確保できるというわけである。
3.旧松井田町役場




- 住所:群馬県安中市
- 竣工:1955年
- 用途:町役場
旧松井田町役場は、2017年まで公民館や文化財資料室として使用されていた、群馬県安中市に建つ施設である。
建築としては、まるでギリシャ神殿を思わせるような真っ白な列柱が特徴的で、その外観から「畑の中のパルテノン」という異名までつけられた。
現在は、老朽化・耐震不足などが理由で施設は閉鎖され、今後解体されるのか、保存されるのかは未定となっている。
隈研吾氏は、この施設を美術館として利用してはどうかという意見も出しているという。
4.ノアビル




- 住所:東京都港区麻布台二丁目3番5号
- 竣工:1974年
- 用途:オフィスビル
ノアビルは、東京都港区麻布台に建つ、地上15階建てのオフィスビルである。
建築としては、円筒型をした黒塗りの外観が特徴的で、1974年に建設されたビルなのに、周囲の建物と比較してもかなり現代的な印象を受けるのは驚きだ。
さらに、真ん中あたりに設けられた横長の窓や、外壁の仕上げに合わせるように設けられた縦長の窓は、そのスタイリッシュさをより際立たせるようなかっこよさがある。
5.親和銀行本店「懐霄館」




- 住所:長崎県佐世保市
- 竣工:1975年
- 用途:オフィスビル
親和銀行本店「懐霄館」は、現在はふくおかフィナンシャルグループの傘下となっている地方銀行「親和銀行」の本店ビルとして建設された施設である。
建築としては、曲面を持った外壁と、その外壁を覆う質感の強い石壁によってつくり出される、造形的な外観が特徴的。
誰がこの建物を銀行の本店ビルだと思うだろうか?
この建築こそ「異端の作家」と呼ばれた白井晟一を象徴する、最高傑作なのかもしれない。
6.芹沢銈介美術館本館「石水館」




- 住所:静岡市駿河区登呂5丁目10番5号
- 竣工:1981年
- 用途:美術館
- URL:公式サイト
芹沢銈介美術館本館「石水館」は、日本の染色工芸家「芹沢銈介」の作品を展示・保存することを目的に建設された施設である。
弥生時代の遺跡「登呂遺跡」がある登呂公園の一隅に位置するこの美術館は、周囲の自然と調和するように木・水・石といった自然素材がふんだんに使用されている。
そのため、上の写真の通り、美術館入り口に立っても「この先に美術館があるのか」と疑問に思うほど、建築が自然に溶け込んでいる。
白井晟一後期の代表作である。
白井晟一の関連書籍
今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、白井晟一が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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